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「わたしの思惑では解放された「蒼」は人ごみに紛れ、新しい「蒼」が夜空を飛び回るはずだった。
しかし留まる者が予想を超えて多いから、火種は増えるばかりです。
その余剰供給はどんどん貯まっていくだけ。
だから違う方向性があってもいいかと思い始めた。
救い出すことで、恩もしくは借りをつくり、それを返して欲しいときに行使するという方法ですよ。
助け出すなら誰にもできます。でもそれでは意味がない。
「救い出す」ことが必要なわけですよ。
救い手は、被害者と同様の経験をもち乗り越えた人間しか成れない。意味わかりますよね。」
それが、わたし・・・。
「わたしを救ったのは宏之です。」
「それは認めます。大きな存在ですからね。でも根本はあなた自身です。埋もれたままでいることを良しとせず、明るい場所を目指すことを選択したのは、碧仁、あなたです。
私はあの肥溜めから助け出しただけで、救い手には成りえなかった。それは私自身が今までの経験上、明るい場所を歩いてこなかったからだ。それに被害者と同調できるだけの許容もない。
だからずっと待っていたのです。強さを取り戻した、あなたを。」
切られたであろうカード。
その後も普通に生きてこられたのは斉宮の努力なのかもしれないと、初めて思い立った。
元凶であるわたしの存在を消したところで残る映像がすべてだし、罪を犯せばそれだけ弱みが増えるだけだ。
斉宮はきっとそう言って釘をさしたに違いない。
笑えるじゃないか・・・
どっぷりと浸からせた相手が、陰ながら守っていたと?
私の救い手は宏之だ
他はどうでもいい・・・ことだ。
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