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怒りんぼ!!!
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三井寿は考えていた。
この近くにあるらしいカッパ銭湯に行くまでの間
ずうっと彼はポケットに手を突っ込んで
目を座らせて口を尖らせながら仙道彰を見ていた。
彼が考えているのは まさに
『あの秘密の作戦』の決行がいつだってことだ。
三井寿は少々セッカチな男だし、
作戦決行を今か今かとソワソワしながら待っているのだ。
「……ちっ、仙道のやろう。」
へらへら笑いながら花道の隣にピットリ
くっついている仙道彰。
水戸洋平も勿論その反対側を死守している。
「む。」
「水戸のやつ、様子が変ッスよね。三井さん」
「どわあっ!」
スッと背後から忍び寄る影に気づかなかったせいで
マヌケな声が叩き出された。
宮城リョータだった。
「お、お前!!もうちょっと普通に来れねぇのか!」
「はい?普通でしょ。勝手に三井さんが驚いただけだよ。それよりさ、あんたもそう思ってるんだろ?水戸洋平の様子がおかしいってさ。」
まず、 [はい?]ってのもムカつくし、
[勝手に] [それより] [ちょいちょい挟んでくるタメ語]
いつもなら流せるところも今日は流せない。
三井は 水戸をはじめ、仙道や流川までもが花道と事を犯した事実をまだ知らない。
なのに彼はあせっていた。
本能なのかもしれない。
「ああ、思ってるぜ。」
仙道を睨むようにして観察しながら
超絶不機嫌な声でそう漏らす。
すると宮城は「?なんで怒ってんすか…」と眉を下げたが三井は全く見ていなかった。
「なんかあったんですかねー、水戸と花道。」
「さあ、知らねー。あったんじゃねーか」
宮城は三井の素っ気ない態度にムッとはしたが
まあいいか、と 水戸の方を見つめる。
「なんかいつもの覇気がねえっつーかさ~
花道を絶対守りきる!って魚住並のセンター感が今日はバスケ始めたばっかの弱小チームのセンターみたいに縮こまっちまって ぜってーあれはなんかあったハズ。」
ズバリ、三井も同じことを思っていた。
"桜木はそれに気づいているんだろうか?"
「……気づいてなさそー」 宮城リョータがぼそりと呟く。
三井は目を丸くして宮城を見た。
ここで初めて目が合う。
「?な、なんスか。どうかした?」
「…いや、」
さっ、と目をそらして スタスタと前に出た。
ここまで考えることがシンクロするもんなのか?
[ちょっとすげえ] 三井は素直にそう思った。
カッパ銭湯らしき建物が見えてきた。
「あれだね。」 と海南の神総一郎の声がした。
ギロリ、一応睨んでおく。
なにせ同じ3Pシューターだからだ。
しかも今は恋敵でもある!
「フッ…どっちもオレの勝ちだ……」
勝ち誇った笑みを浮かべる三井をよそに
御一行はカッパ銭湯に到着し、
皆一斉に胸を高鳴らせる。
思うことは一緒であった。
"花道の素っ裸が見れる!"
「オイ、おめーら なにしてんだ?」
水戸洋平を隣においた花道の声に
銭湯の券売機の前でそれぞれ
券を持ったまま立ち尽くしている奴らは
はっとした。
「い、いやらしいこと考えてんじゃねーぞ宮城」
三井は言う。
「そういうあんたが1番いやらしいこと考えてたくせに!」
「なっ!考えてねーよ!」
「牧さん ありゃ図星っすよね
まっかっか!」 ニヤニヤ笑う海南の清田信長。
実はこの男がいちばんスケベだったりする。
「っうるせえ!」 汗を飛ばしてしっしっと猿を追い払うように手を払った。
「だあから早く来いって!邪魔になんだろーが!凡人共!」
「ぬぁにぃ!赤毛猿!凡人だって?この清田信長様に向かって!」
追い払われるがままに清田は花道の方へ走る。
三井は愛しい桜木花道のところへ行ってしまった清田を止めたい気分に襲われ、牧はやれやれと歩みを進めた。
「コラ、清田。走るなよ。」
「やーい!じいに怒られた!」
「うっ!……ま、牧さんをじいって呼ぶんじゃねー!」
「じいはじいだ!」
ギャーギャー騒ぐ猿たち。
それに割って入るは男共。
水戸洋平はなんとなく疎外感を感じていたものの、
花道が楽しそうにしているのを見ると
やっぱり幸せになってしまうのであった。
「オレって…苦労人なのかなあ…」
そう呟いたのを仙道彰はしっかりと右耳で拾い上げたのを水戸洋平は全くもって知り得ない。
また、三井が仙道を 睨み続けていることも
仙道彰は知り得ないのだ。
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