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蜘蛛の巣に捕らえられた蝶々
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さてついに夜が来ました。
「洋平〜、風呂はいるだろー?」
桜木はトコトコと水戸に近寄り、声をかける。
「先にお前が入っていいよ」
そう答えると桜木は「客人が一番風呂!」と言ったので俺は笑いながら言った。
「客人って仲じゃねーだろうよ、花道。」
…俺らの仲は…
水戸は少し目を細めて花道の黒く凛々しい瞳を見つめた。
それにドキリとしたのか、桜木は「わ、わかった!先にオレサマが入ってやろう!」と焦りながらドタバタと風呂場へ向かっていく。
「…可愛いやつだな、まったく。」
相変わらず、というように
水戸はその後ろ姿を見守るのであった。
(…意識してんのはいいとして…
はやく捕まえねえと…危険かな、色々。)
水戸は心中密かに危機感を募らせていた。
────その頃、桜木はというと
素っ裸になりながらシャワーを浴び、水戸のことをひたすら考えていた。
今日の昼の水戸の行動や、さっきの表情。
全てが彼の脈拍を強くする。
「…なんでこんなにドキドキしてんだよ俺は!…洋平は男だ。それに…友達なんだぞ!」
わかってる。ここまでわかってるのに、
どうしてだろうか?
…右頬をふと撫でる。
(…口に、して欲しかった。)
そう思ってしまう、自分の気持ちに背筋をゾクゾクさせた。
この時、水戸の作戦はこの二日で半分以上を終えていた。
残り四分の一といったところか。
…さあ、このままでいいのか…!?
仙道!流川!宮城!三井!!
このままじゃ、水戸に花道を奪われちゃうぞ!!
────この頃、この四人は揃って大きなクシャミをしたという。
「はな、おせーなあ。」
軽くあくびをしながら水戸は花道が上がるのを待っていた。
(あいつのことだからなんか色々考えてんだろうな…ははは。)
色々といえば、もちろん俺のことだと思う。
花道のあの素直で可愛い性格だ。
あんなにいい雰囲気を出しちゃ花道がアッサリ呑み込まれてしまうことはわかっていた。
自分のことはズルイと思う。
だが、恋というのは戦いなのだ。
臆するやつが悪い。遅れるやつが馬鹿だ。
俺はもう手を引けない位置まで来ている。
ここまできたら花道をかっさらうまで一気にいくしかない。
アイツが男を…自分を意識しているうちに
ガッツリ奪ってしまおう。
そう、ガッツリと。
水戸洋平というクモの巣に見事引っかかってしまった可愛らしい蝶々こと、桜木花道。
意味深に綻びる、水戸の悪い笑みが
ギラギラと光っていた。
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