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彼のぬくもり。
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「…はっ花道、泣くなよー…
俺がついてるぞ。流川なんかよりもズットズット頼りになるこの俺がついてるからな!
大丈夫だぞ。な?」
宮城が桜木をなだめる。
「おい。どあほう」
流川がぽつりと桜木を呼んだ。
流川は聞きたかった。
「今は男のが興味あるってことなんだろ。」
ピクリ。
桜木の肩が反応したように動く。
『俺は…女の子がすきだったんだああ』
叫んだのは自分。
すきだった。
女の子が 好きだったんだ。
なのに今は…………
俺はホモになっちまったんだ。
それは…その事実からはどうにも逃げられねぇ。
けど…わかんねぇんだ。
わかんねーよ。
誰が好きだとか
どっちの方がいいだとか。
わかんねぇ。考えられねぇ。
ただ………俺は…
ただ、なんだ…?
ただなんなんだろ。
それさえもわかんねー…
どうすりゃいいんだ、俺は…
誰か教えてくれよ。
不確かなもんばっかり
疑問になって俺の頭に積み上がっていきやがる。
桜木はそれに耐えられなかった。
だから涙が出たのだった。
「花道…」
宮城がふと 桜木の名を呼んだ。
その時だった。
桜木の家のインターホンが鳴り、
トントン、と扉を叩く音がした。
「…客か?今は無理だろ…」
宮城がつぶやく。
すると桜木はふらりと立ち上がった。
時刻は3時45分。
桜木は何を思ったのか
あるいは感じたのか
すぐさま扉を開けたのだった。
「いよ、花道」
ニコリと笑って右手を上げた。
そこにいたのは、水戸洋平だった。
「よーへ…」
ブワッ、と一時止まっていた涙がまた溢れ出す。
「お、おい?花道、どうした?
なっなにがあったんだ?」
突然の桜木の涙に驚く水戸。
すると桜木がギュッと水戸の右手を握った。
そしてそのまま自分の方へ引き寄せ、抱きしめたのだ。
「洋平…」
「花道…?」
会いたかった。
会いたかったんだ、おまえに。
何でか知らねーけど
無性に会いたくなった、さっき。
来てくれた。
洋平、洋平…
水戸のぬくもりに安心する桜木の背中を
水戸はゆっくり撫でてやった。
「とりあえず…部屋に入ろうぜ…花道。
ここじゃ目立つだろ?」
そう言ってフフ、と笑う水戸。
コクリと頷いた桜木は身体を離した。
恥ずかしそうに俯く桜木の手を水戸はさり気なく握ると
桜木は口元を緩ませた。
そんな彼の様子を見て
水戸は嬉しく思ったのだった。
「あれ、流川まだいたのか?
…ってもう1個の靴は誰…あ。もしかして仙道か!?」
「いやチガウ…リョーちんだ。」
「宮城さん?ああ…そうなんだ。」
ホッと胸をなで下ろし、
ふたりはリビングへ向かった。
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