アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
愛され実感。
-
────時間は先送りされ、桜木宅。
朝。
目を開けた。
瞼が重い。
頭痛い。
「…ぁ〜…」
喉もヒリヒリ痛むし
水が飲みたい。
ソファーから起き上がると自分の上に毛布がかけられていて
そして同時に 一人の人物を探した。
「洋平…?」
ずっと一緒にいたのに
一体どこいった?
徐々に不安に駆られる。
でもこの毛布をかけてくれたのは
洋平しかいない。
立ち上がろうと床に足をつけ、
上体を持ち上げようとした瞬間に腰に激痛が走った。
「ぐあっ!?」
ドサッ、とソファーの上に再びカラダが打ち付けられる。
痛い。
とても動ける気がしねえ。
「洋平…」
どこに行った?
学校行っちまったのか…?
「声ぐれぇかけてくれたっていいのになぁ…」
そう不貞腐れたように呟いた。
突然切なくなった。
寂しくなった。
あんなに俺をぎゅーってしてた腕が
朝に無くなってんだから。
そんなことを考えているとポスッと腹の上に軽い何かが乗った。
「うぬ…?」
「よぉ、花道。お目覚めだな?」
「洋平!…っいぐぁっ」
嬉しさで出た大きな声を
張り上げた瞬間また激しい痛みが走る。
「無理すんなって…」
そう言って苦笑しながら水戸は桜木の元へ近寄った。
「大丈夫か?花道」
「…さきに学校行っちまったのかと思った。
…どこ行ってたんだよ、バカ…」
「わり、ちょっと薬局屋にな」
「薬局屋?」
「腹の上乗ってる。薬。
痛み止め。ほら、いてぇだろ…腰とかさ。」
「…ぬ。べ、別に痛くねーよ。
天才だからな、こんなのヘッチャラってもんだ!ハッハッハっ!…っぃ゛!」
強がってそう言うと
水戸はふと真剣な顔して踵を返し、台所へ向かった。
「お、おい。洋平…」
手を伸ばす。
しかし届かない。洋平の後ろ姿が見えなくなった。
1分もしないうちに戻ってきた彼は
水の入ったコップを手に持っていた。
「飲み薬、粒だから。
飲めるだろ?」
「えっ、だから俺は大丈夫だってい…」
「大丈夫じゃねえって。ほら、」
ドサッと桜木の隣に座る水戸。ソファーの軋む音がする。
「飲んどけ、な?」
「ぐぬぬ。…わかった。しかたねーな」
「さすが天才。聞き分けがいい。」
「へっ、へへっ。まっまあな!御褒美くれてやったっていいんだぜ、洋平!フハハ!」
すっかり機嫌が直った桜木。まさに単純王だ、とこういう時よく思う。
「御褒美?んー、じゃあキスとか?」
「キ!キス!?」
「薬、口移しでしてやろうか?」
ニヤリと笑う水戸。
桜木は嬉しさで胸がいっぱいになったが
照れ臭さで顔を背けてしまった。
「冗談だよ、天才。
本気にすんなよ顔があけーぞ?」
「ぬぁっ!?て、てめぇ〜っ洋平!!
からかいやがったなぁ!!」
「ふはは、おめーがさっさと飲まねーからだよ。ほら、口移しされたくなきゃさっさと飲め」
「…ふんっうるせーやい、洋平のくせに…」
ブツクサと文句を言いながら桜木は
豪快に薬を飲み込んだ。
その様子を水戸が微笑みながら見ている。
そしてゆっくりと口を開いた。
「花道悪かったな」
「んぁ?…なんで謝る」
「バスケあんのに、あんなめちゃめちゃしちまってよ。
ちょっと反省してんだ。ごめんな。」
「……」
困ったように頬を掻く洋平の手を思わず握りとった。
「…花道?」
「…洋平…俺を、このオレサマを弱くみてんじゃねーぞ」
暫しの沈黙が流れる。
花道の瞳は真剣だった。
そして水戸も真剣そのもので、花道の瞳の奥をしっかりと見据えた。
「あれくらいどーってこたぁねーんだよ
なんせ天才だからな。スグ治る。」
「花道」
水戸の手を握る手が震えてる。
見れば顔も赤い。
「だから謝ん…」
グイッ。
話を続けようとしていた桜木の手を引き寄せ、
抱きしめた。
「可愛すぎだぜ…バカ」
「ふぬ…っ?」
「…ふー…………まったく、天才にゃ敵わねーな。」
そう言って桜木の耳元で笑った。
「…でも、俺は凡人だからよ
天才がどんだけ頑丈で強くても心配で心配で
たまんねーんだ」
「…ぬ。」
「お前の大好きなバスケットを
一瞬たりとも奪いたくねーってこと。
今度からはちゃんと優しくする。悪かった。」
「…洋平……
…そっそこまで俺のことを…」
「うん、大好きだからな」
「…っうう、洋平ぇー!!」
水戸を強く強く抱きしめ返す桜木。
好きだ好きだ好きだ
大好きだ。
優しくて暖かい思いがとめどなく
溢れ出していく。
「いててっ、いてぇって花道!」
「だ、だってよぅ!!
洋平っ、俺、俺頑張るからな!バスケット!!」
「おう。頑張れよ、天才バスケットマン!」
「おうっ!!」
桜木は思った。
うおおおおおぉっ、燃えるぜ!!!
洋平の為にもこの天才 桜木花道!!!
日々前進あるのみ!!!!!
そう深く深く誓ったのであった。
「ハッ、今日学校じゃねえーか!
ってもう三時間目の終わり…」
「なにぃー!?」
「…もう急いでも無理だ。
ゆっくり行こう。」
水戸は笑った。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
74 / 90