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視線。
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「おい花道」
「なんだリョーちん」
宮城がふと桜木に声をかけ、
ギロりと無言で桜木を睨み始めた。
「…な、なんなんだ?」
「花道…おまえ、部活終わった後
時間空いてる?」
「別になんもねーけど…なんだよリョーちん、なんかあんのか?」
「花道」
「ぬ?」
桜木の質問には一切答えずスルーの宮城。
「お前には悪いことするって思ってる。
でもわりぃ…花道。
これだけは譲れねーんだ絶対に、必ず…」
「だ、だからなんなんだよリョーちん」
「大好きだぜ花道!」
「へっ」
二カッと小悪魔ちっくに笑い、
宮城はその場を走り去った。
ダムダムとドリブルを突きながら。
「わけわからん!!」
ふんがー!とボールを地面に叩きつけた桜木花道。
それは見事にバウンドして
向こうへ行ってしまい、
それが流川にヒットしてしまった。
「あっキツネ」
「……てめー」
「わっわざとじゃねーぞ!!
今のはほんの偶然だ偶然!!」
「…許さん」
パス連習をしていた流川が
相手の安田(バスケ部員2年)をほっぽって
ズンズンと桜木に近づく。
「なんだキツネ、それ以上近づくんじゃねぇ
向こう行けっ!」
「見ろ、赤くなってる」
自分の顎を指さす流川。
しかし全然赤くなっていない、
「嘘つけ全然大丈夫そーじゃねーか
甘えんな!!」
「イヤ、痛い」
「だー!痛くねえ!」
「痛い、保健室。保健室連れてけどあほう…腕貸せ」
「顎なのになんで腕が必要なんだっ!なんで!」
「いーから貸せ」
桜木の腕をグイッと引っ張る流川
それを見た三井が「オイ流川!」と
流川の肩を掴んだ。
「なんすか」
「…なんすかじゃねーよ、どこ行こうとしてんだ
部活中だろうが」
「保健室…顎いてーから」
「なら桜木は置いて
1人で行ってこい」
「いやだ」
「あぁ?いやじゃねーよバカ
何も2人で行かなくてもいーだろが」
そう三井が怪訝そうに言うと
桜木がウンウン!と首を縦に振りながら
「そのとーり!!さすがミッチーわかる男よ!!」
と明るい笑顔で言った。
「…にゃろう」
流川が呟く。
すると三井がヘッ、と不敵な笑みを浮かべた。
「さっさと保健室行け流川」
「もーいー、治ったから」
「あ?なんなんだテメーは…
とにかく治ったんなら早くパス練習に戻れ」
「…ちっ」
「…!?今舌打ちしたかコラ!」
「してねーっす、じゃ。」
流川はそう言って
安田の元へ戻って行った。
桜木はブツクサと流川の文句をいいながら
ボールをダムダムついている。
その様子を三井は眺めて言った。
聞きたいことがあったから。
「桜木」
「なんだねミッチー」
「…お前って赤木の妹 もう好きじゃなくなったのかよ」
「!?な、なぜ!?」
赤くなりながら
ドリブルを止めた桜木。
「なぜって…それは…
あれだ、水戸…」
「なななななななななっ!?
ミッ、ミッチーま、まさか何か知って…
ちょっとコッチ来い!!」
ボールをほっぽり出して三井の腕を掴み
体育館の隅に走っていき、そこで固く身を寄せた。
(…ち、ちけえ…)
ポッと顔を赤らめる三井。
「ミッチー…時に聞くが…!
な、なんで洋平の名前が出てくんだ…?」
ああ、そうか。
こいつら(桜木と水戸)は知らねーんだ。
自分らが付き合ってるってことを
俺や宮城…流川に仙道が知ってるってことを。
だからこんなに焦ってんだな。
三井は思った。
「…付き合ってんだろお前ら」
「ぬぁ!!?!?」
みるみるうちに真っ赤になっていく桜木の顔。
頭と同化して赤いボールみたいになってる。
「なななななな、なっ!?
なぜそれ…を!!?だ、誰から聞いた!?」
「誰から…」
言いかけてドゴォッ!!と凄い音が立った。
頭をどつかれた。
赤木に。(キャプテン)
「こんなとこでなにをやっとるんだ!
練習せんか練習を!!サボるな!!」
「ゴ、ゴリ…!」
「桜木!!キサマ基礎はどうした基礎は!!早く戻れ!三井、お前もだ!」
「しかしゴリ!!今はそれどころじゃ…」
「うるさい!!無駄話は部活が終わった後でしろ!!」
軽くパニック状態の桜木の頭を再び殴ると
桜木は涙目で持ち場へ戻って行った。
「三井、お前も早く戻れ
なにをやっとるんだ…まったく。」
「うるせーよ、赤木っ
いきなり殴りやがって生意気な…」
ブツブツ文句を言いながら
その場を立ち去る三井。
(しかしあの様子じゃ…
桜木はマジで水戸のことが…)
好きなんだな。
そう分かった。分かってしまった。
だからこそ
水戸に怒りが湧いたし、
桜木に罪悪感を抱いた。
ふと視線を感じ、後ろを振り返る。
水戸洋平だった。
「…なんだよ」
ぼそりと呟く三井。
しかしその小さな声では水戸の耳に届く筈がなく
ふわりと宙に舞い散ってしまった。
その時、確かに敵意を感じた三井だった。
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