アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
2-2
-
※
思考回路がきちんと回復したのはそれから数分後。
訳も分からずたどり着いた場所は見覚えのある教室の中心。傍ら、見覚えのある人間だらしなく座り、見覚えの無い野郎達に痛いくらい見つめてくる。
「……なにこれ」
「俺に聞くんじゃねーよ、糞が」
連れてこられたこの場所は、数日前マナブとリクトと熱い議論をぶつけ合った空き教室。そして、何故お前もここにいるのだと言いたげな瞳でガンを飛ばしてくる兄リクト。まわりに黒風白雨の下っ端がわんさか。
頭が回復した所で、まったく読めやしないこの状況に、嫌な予感だけがスズヤを襲う
違和感。強いて言うなら見慣れた人間が一人いないのが引っかかる。
リクトはワックスで整えらた、黒い自身の髪の毛を乱暴に掻き毟れば、苛立ちを隠しきれていない様子で「俺もこの馬鹿犬に無理やり連れてこられたんだよ」と首である方向み示す。
リクトが指した先にはアスカが立っており、「馬鹿犬ってなんだよ!」と頬をめいいっぱい膨らませ、ぷんすかぷんすか鼻を鳴らし、ペチペチ足踏みをしてみせる。
この男は効果音が非常に多い。少しは大人しくできないものかと必要無しに考えたが、状況的に無駄な頭を使わない方が先の為になるなとアスカに対する行動、言葉は事が片付くまで断ち切る決心をし、目を瞑る。
ただ、下っ端が頭をぺこぺこしてる態度から、幹部の一人がアスカであるのだろうと予測は立てた。こちらの情報は重要なので断ち切らぬまま、頭の隅に捨てておこう。
そんな、修羅場でも賑わいを作る、お騒がせ少年アスカは何か伝えたいのか「聞いて、聞いて」とリクトの所へ一直線に駆け抜ける。
「大変なんだ! マー君がぱかっとズガガガって……!」
「スズヤ、通訳頼む」
「無理難題を押し付けるな」
ネジが何十本も取れている主語も無い効果音だけの会話に、耳を痛めるスズヤ。
マー君がマナブであろうと予測は出来るが、以降、異国の言葉に近い。通訳など出来る人間がいるのだろうか。だが短期なリクトに通訳を任せる訳にいかず、スズヤはため息混じりにアスカの元に足を運ぶ。
もちろん、通訳なんて効率の悪いことをせずに。
「5W1Hで答えて欲しいんだけど」
「ご、ごーだぶりゅー……?」
一生懸命頭を押さえ込み、「うーん」と悩み始めたアスカ。別に難しい事は言っていない。むしろ一般常識、生きていく上で必要な言葉であろう。
だが、その考えがこの学校で通用しないと思い知らされる。アスカは30秒ほど悩んだ末、たどり着いた答えがドが付くほど悲惨な物であった。
「あ、隣のクラスのごーだぶりゅーいちえいちくんね!」
「それ、どちらさんだよ!?」
突然、爆弾を投げ入れて来たので、咄嗟に打ち返してしまったスズヤは胃の痛みにお腹を押さえ座り込んだ。「これは胃薬常備しなくちゃいかないタイプだ」と頭の隅で考えながら。
「大丈夫? お腹が痛い時はひーひーふーだよ!」
あーもう知らない、俺は知らないと爆弾発言を必死に受け流す。そんなスズヤの姿が面白いのか、リクトは顔を下に伏せながら「クック」と喉を鳴らしていた。
スズヤから言わせてもらえば、他人事だから笑えるだけであって、これがスズヤでなくリクトであれば手が出ていたであろう。
スズヤは胃の痛みと格闘しながら、針のように鋭く、大声で「いつ!どこで!誰が!何を!何故!どのように!これに当てはめて、説明しろ!」とカッと睨みを投げた。
「ごーだぶりゅーいちえいちくんはもういいの?」
「5W1H君は頭から消せ!」
なんという低脳な会話であろうか。
これが16歳同士の会話か、16歳と5歳児の間違いでは無いかと疑ってしまう。頭が痛い、胃が痛い、耳が痛い。
「えっと……2時間前ぐらい前、あんたの靴箱で、まーくんが、手紙を見つけてガガガって走り出して、俺が自分の靴箱と間違えたから、普通にぱかっと開けて……」
だからぱかっとと、ガガガなんだと納得したと同時に「何故効果音の部分を強調するんだ」と思わずにいられなかったが、その部分はとりあえず今は捨てておこう。やっと欲しい情報が聞き出せたのに、これ以上こじらせて、ややこしくしても意味が無い。無駄な労力なだけだ。
そんな感じにやっとのことで手に入れた情報。一番重要な部分はスズヤの靴箱に「手紙」が入っており、それを見たマナブが走り出した。この二つであろうか。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
18 / 51