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つまら無い話かもしれませんが、黒鴉の少々長いお話を聞いてもらいましょう。
黒鴉には赤く、白く、とても神秘的で綺麗な弟が一人いました。
常に笑顔を振りまき、男の癖にひ弱で、体が細く、日に当たってはいけない、とても病気がち。誰かが守ってあげなくちゃ壊れてしまいそうなガラス玉。
ですが大人達は彼を守ってあげず、寂しい毎日を過ごしていた事を鴉は知っていました。
彼をおとぎ話しに例えるなら魔女のいないシンデレラ。毎日家に閉じ込められ、外を夢見る小さな子供。
そんな幼い鴉にはたった一つ夢がありました。
いつか自身が魔女として弟の前に現れ、彼をアリスに変身させることを。
余談ではありますが、何故シンデレラのお話しでアリスが出てくるのか、皆さま疑問に思ったかもしれませんが、それは少年が少々お馬鹿であった為に、頭の中ではシンデレラは最後にはアリスになると勘違いしてしまっていたからです。
では、話しを戻しましょう。
そんなちょっとお馬鹿少年の可愛らしい夢。突然、両親の離婚と共にそれは崩壊しました。
少年は必死にお願いしました、「スズヤと一緒がいい」と涙を流しながら必死に必死に。ですが、大人達は聞く耳も持たず、二人を引き離してしまいまったのです。
それから十年の月日。
母は様々な男と遊ぶようになり、それを見て育った少年は辺り一の不良と成り果ててしまいました。母から与えられる物は彼にとって当たり前で、有り難みも感じ取れないほど、気がつけば心が完熟してしまいました。
そして彼は楽しい仲間と、楽しい当たり前の日常を送り、不自由無く過ごしてました。
けれど、そんな日常で一度たりとも弟の顔を忘れた事は無く、「ちゃんとあいつ飯食ってるのかな」と少食の彼を心配したり、「いらん病気かかってないかな」と病気がちだった彼を心配したり。
そんなブラコンで心配性な彼の為に、呆れた神がサプライズプレゼントを与えてくれました。「スズヤを引き取る」という思いもよらぬプレゼントが。その言葉が聞けた時は顔に似合わず、心の中で喜んだものです。
ですが楽しみにしていた弟の再会は、針のように刺さる物でした。彼は昔の彼では無かったのです。
笑顔は消え、涙すら流さず、心は傷だらけ。見た目の美しさだけは残ったままで、それはまさにドール人形と全く変わらない。
少年は恐ろしかった。
もし今の乱暴な少年が、傷だらけの弟に触れてしまったら跡形も無く砕け散りそうだったから。だからこそ彼は触れずにそっと後ろから弟を見守ることにしたのですが、それを見透かしたように弟は自身の領域に足を踏み入れてきたのです。
人の心とは最低なもの。
傷を知れば知るほど心が惹かれて傾いていき、いつの間にか傷だらけの弟を追いかけるようになってしまった。痛がる彼の心の傷を掻き乱し、舐めまわし、知ろうとしてしまっている。
そんな性格の悪い自身を知った後、いつの間にかお遊びの方も出来なくなってしまった。少々お下品ではありますが、彼は女を取っ替え引っ替えで食べていましたが、そもそも立つことが出来なくなってしまったのです。
女性との行為の途中「もうちょいだった」という台詞を弟に投げつけたのは、別に行為の最終到達点では無く、上記の立つ部分の到達点に対しての言葉でした。
そんなくすぐったい感情に流されてしまっている少年は弟に対する気持ちが「兄弟」のものか「それ以外」の物かきちんと確認をしたかった。
答えは知っています、悪足掻きだと知ってます。
ですが彼は自身の気持ちにケリを付けたかったのです。
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