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1-2 (R.15)
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「っ…はぁ」
やっとのことで口内から異物が取り出されたスズヤは酸欠でぼんやりする脳内で、頬を少し染めた男の顔を見つめた。
男は血を分けた自身の兄。
表上は偽りでも、中身上は立派な兄弟関係を持つ存在で、そんな男は餓死寸前で余裕無さに獲物を見つけた鴉のような鋭い目つきで、少し息を上げながらスズヤを逃さず見つめていた。
「っちくしょう……マジで立っちまった」
何が立ってしまったのか、先ほど何が起きたのか。
そんな疑問が、酸素が体に行き渡るにつれて流れが読めてしまい、先ほど上げた自身の「声」に恥を覚えたスズヤ。海にいた時のように、少しずつ熱を灯すのが伝わる。
急いで周りを見渡してみれば、目の前にはリクトがスズヤをベッドの上で押し倒す形でこちらを見つめていた。わかりやすく伝えるのであれば先日、女の人とリクトが行為を行っている時と同じ状況。
そんな普段見せない彼の表情にリクトは舌打ちを一つ。「お前、そういう表情もできたんだな」など意味不明な一言を追加して。
「お前よ、今どんな表情してるかわかるか……?」
「……っなにが」
「目細めて真っ白い肌を真っ赤にさせて、口から液体垂らして…」
液体の単語が出てきた途端、慌てて唾液を拭き取る動作をすれば、力強いリクトの手の平がスズヤの腕を押さえつけ、行動を阻止される。
そして、耳元でそっと呟いた。
「今のお前、めちゃくちゃエロい」
そんなおふざけの過ぎた一言に、思わずスズヤは対抗の言葉を出そうと口を開いたが、それを隙にリクトは追加で口を塞いでくる。
自分は偽りであっても法律と血はリクトの弟。
自分は家族全員から嫌われていた。
自分は愛される存在では無い。
自分は醜い生き物。
自分は____。
自分は__。
そんな壁を少しずつ壊されて行く感覚が、スズヤの中で伝わった。
そして、それは与えられずにきたスズヤにとって最も恐れていたことであった。
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