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オモテ爽やかウラ無慈悲
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「……え」
明らかにいつもと違う俺に、この状況。
桐嶋はこれまでにないほど焦っている。
そのデスク下の事情を、本当に隠しきったつもりでいたのだろうか。
前髪から覗く額を、冷や汗がつっと伝ってゆくのが見えた。
俺は言葉を重ねた。
「ですから。俺がここに来るまでに、
何をしていらしたのかと」
尚も視線を泳がす桐嶋に、机を叩いて注意を促す。そんな俺の態度に、
桐嶋はキレた。
「何だそのわけのわからん質問は!
何が言いたいんだよ…ッ」
この男、
それを俺に言わせるのか。
気が動転しているのか、それとも馬鹿なのか。
俺はもはや嘲笑するのも堪えずに、
この男の腕をつかんで、はっきりと言ってやった。
「……桐嶋さん、
オナニーしてましたね」
「…ッッ」
まさか突然、それも俺の口から、
そんな単語が飛び出してくるとは思わなかったんだろうか。
桐嶋は可哀想なくらい真っ赤になって、俺の手を振り払った。
あの鉄壁の無愛想が、こんな顔も出来るのかというほどレアな光景だ。
何その可愛い反応。
せっかくの男前が台無しですけど。
調子に乗っている俺は、
更に追い打ちをかけた。
「部下に見つかるなんて、恥ずかしいですよ…
夜遅くに、こんな所で。
そんなに溜まってたんですか?」
あ。言い過ぎた。殴られそう。
俺が様子を伺うように横目に見ると、
桐嶋は尚も泣きそうな顔でこちらを睨んでいたものだから、笑ってしまった。
「てめぇ…!!」
「はは、やっぱしてたんですね」
俺が指摘すると、
無言でズボンを引き上げ、ベルトを締め直す桐嶋。
緩めたネクタイも昼間と同じように戻して、つんとそっぽを向いている。
「ほらしてたんだ」
「るせぇなッ!」
閉じたPCの上に突っ伏して、「もう帰れよお前」とイライラしながら抗議してくる。
そんな姿を見ると、優越感を覚えざるを得ない。
しかし。
確かに、意外なことだ。
その手のことにはストイックそうだし、
見るからに硬派そうだし、
この人どうやって処理してるんだろうとか、趣味の悪いことを考えたこともあった。
アダルトサイト…見るのか……
会社で、ですか……
この人、仕事人間なだけじゃなくて、
ちゃんと成人男性やってるんだな。
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