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ふにゅっとしてぷにっとした、
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「ちゅーしちゃった……
男とちゅーしちゃったよ…」
冬も近づいてクソ寒いってのに、
現にあの上司をふらふらにするような強烈な病原菌が飛び回る季節だってのに、
俺は冷たいシャワーを頭から浴びながら、
浴室の壁にもたれ掛かって、打ちひしがれていた。
駄目だこれ…
後になってからジワジワ来るやつだ。
ベッドに思い切り倒れ込んだ俺を、適度に柔らかいものが庇ってくれました。
痛みは軽減されました、だが心のダメージが凄いです。壮絶です。
キスしたというかは…のめり込んだ?
…確か、歯も当たった。
だからつまり、あれは失敗だ。
カウントするな、未遂だ未遂…
いやいや、未遂どころか普通のキスから大いに発展してるような気がするが。…
「あ゙ぁー…何でもいいけど帰りてぇぇ…」
あの先輩の事だから、
明日には風邪なんか吹き飛ばしてて、
もしくはまだ熱があったって、当然のように会社に行くんだろう。
寝たら治るんだよとか言って、次の日ほんとに治してくるタイプだろうな。
…そうだ、寝ててくれ。
頼むから俺が部屋に戻った頃には爆睡しててくれ。
「くそ、桐嶋くそぉ…」
至近距離で見てもかっこいい顔してんじゃねーよくそ…
あと男のくせに唇無駄に柔らかいんだよ…
部屋に戻るのが、
嫌とか気まずいってよりも、
単純に恥ずかしい…だなんて。
俺はどうかしてる。マジで。
「帰りたい…何かに目覚める前に帰りたい」
俺がおかしくなったのは、そう…
奴のオフィスでの自慰行為にはち合わせてからだ。あれこそが原点にして、全ての始まり。
普段堅苦しいイメージを持っていた上司が、顔を赤らめ、息を上げて、一人で行為に耽っていた。…
それをきっかけに俺は、奴をおかしな目で見るようになった。
驚いた時の目が可愛い。
眉間に皺のない寝顔が可愛い。
控えめに笑った顔が可愛い。
で。…可愛いって、ナニ
相手は年上の男。
健康診断の結果を見た際、身長は177cm、血糖値は正常で肝臓がちょっと良くないらしい。(おい酒と煙草)
…外見的にも内面的にも、とにかく可愛くは、ない。愛嬌もクソもない。
じゃあなんだ。憧れか?
俺は女性社員に混ざって、あの桐嶋寛人のファンとして、一緒にキャピキャピ言い合いたいのだろうか。いや違う。
デキる男なのに、どっか危なげだから、
放っておけないんだよ。
性格上特定の人物には執着しなさそうだが、
ちゃんと愚痴を聞いてもらえるような人はいるのか、とか。
熱なんか出して、いつも無理してるんじゃないのか、とか。
「…桐嶋さん、大丈夫かな……」
どうしよう、
俺がシャワーから上がった時に床にぶっ倒れてたら。
後頭部強打して死んでたらどうしよう。
ああもう、そうだ桐嶋さんは今病人なんだよ。キスとかハグとかどうでもいい…
「とにかく俺は、あの人が心配だ」
わしゃわしゃと泡立った髪を撫で付けた。
勝手に借りたシャンプーは、無駄にスースーする俺の苦手なやつだった。
「……ぅわっ、痛っ! 目入った!」
ーーーーーーーーーーーーーー
この不安定な気持ちだけは、
まだもう少しはぐらかしておきたい。
自分に対しても…
勿論桐嶋さんにだって知られたくない。
… … …もしかしたら俺が、
男の貴方を好きなのかもしれない…
もしくは気になってる、あるいは惹かれているのかもしれない…
大嫌いだった上司の貴方に、
少しでも、そういう好意を抱いているかもしれない……
なんて。
そんなこと……
口が裂けても、絶対言わない
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