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缶酎ハイがくそ美味い夜
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「……落ち着け。
とりあえず落ち着け」
左手に持った携帯画面の内容に、
右手の酒缶を落としそうになった俺である。
我が部屋へ早めの帰還を終えた俺は、この時既に、早くも二本目の酒をあおっていた。
丁度酔が回って来た頃に桐嶋さんからのメールの封を開くと、
そのふわふわした頭に雷が落ちたかのような衝撃が走ったのだった。
『帰ってるだろうから、今日はいい。
明日2人で飲みに行かないか』
いつか来たあの酷い文句の長文を除いて、桐嶋さんのメールは大抵必要最低限という感じで、かなり短いことが多い。
これだってそう。
でも俺は今、
この簡素な文字列に発狂しそうだ…
やばい嬉しい何これ…! お誘い!!
まさかのお誘い!!
『マジですか、2人っきり!?
デートですか、行きます=͟͟͞͞((꒪∆꒪;)』
顔文字なんか使っちゃって、
とても上司へのメールとは思えないが、どうか今だけは許して欲しい。
俺が興奮に震える手で返した言葉は、
3分と絶たないうちに『違う』の二文字に突っぱねられてしまった。
『仕事の案件と、会社とは関係ない話がある。
後の内容が桜庭以外に話せない趣旨だから誰も呼ばないだけだ。
自惚れんなホモ』
ちょっと文章が増えたと思ったらこれだ。
メールでも口が悪くなってきたもんだ。
…というか。
この人絶対、俺をホモ呼ばわりするのちょっと楽しくなってるだろ。
やれやれとため息を着きながらも、了解しましたの返事を送る。
そりゃ誘いを頂いたのに関してはすごく幸せだし、内容が内容でも、俺と彼の間に2人でしか話せない事があるのはまた密かに嬉しい。
…ただ。
あんな形とはいえ告白された相手にその晩、飲みの誘いを持ちかけてくるとか…
しかもこれまた理由があるとはいえ、2人で、なんて強調しちゃってさ。
……そういう事をされると、
わかっていても無駄に期待してしまうというか。
俺がかわいそうというか。
どんな立場で俺と飲まんとしているのか、
あの人はちゃんとわかっているんだろうか…
『一応俺の奢りでいいけど、
勝手に潰れたら勘定お前持ちで置いてくからな』
続けて伝送されてくるメール。
冗談味のない冗談に、呆れ笑いを浮かべた。
「ほんとツンデレだなこの人…
しかもマジでやりかねないから怖いわ」
といっても、実は俺なかなかの酒豪だから、その点は心配無いんだけど。
そして万が一桐嶋さんの方が潰れてしまっても、熱を出した時と同じ具合に、上手く介抱できる自信はある。
『わかりました、夜ちゃんと空けときます。
楽しみにしてますね^^』
文面では『^^』なんて使っているが、
きっと今の俺のにやけ様にそんな穏やかさや可愛げはない。
『明日はアラームかけ間違えんなよ。
夜更しも程々にな。じゃおやすみ』
何分後かに返されたその言葉で、
会話を終える。
俺は、
携帯と酒缶を机に置き、一息着いた後に、
狭い部屋で1人、悶絶した。
うわぁぁぁマジか桐嶋さん!!!!
どこまでも上から目線!! 可愛い!!←
つーか2人でお酒!! 昼休憩はあったけど、こんなの初めて!!
やばい好き。大好き。死ぬ。早く会いたい。
I love you deeplier deeplier!!!!
会いたいぉぁあああああぁあ……以下略。
……とまぁ。そんな按配で、
今日俺は、
暴れ過ぎて貧血気味、また良い意味でも、
眠れぬ夜を迎えたのだった。
(っていうか。
俺ってほんと…
なんでこんなに、あの人の事好きになってんだろ… …?)
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