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許可令
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時刻は22時30分を回る。
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「酷いです、桐嶋さん」
…楽しい楽しい残業のお時間…
例によって1人デスクに残った俺は、
隣で頬杖をついて待ちくたびれている男に、
ぶつぶつと文句を吐いていた。
「なんで外回り連れてってくれなかったんですか?
いつもは無理やりでも着いて来させるのに…」
昼休憩が終わり、桐嶋さんの担当エリアを回る時の話だ。
この人は当然のように俺を無視して、つかつかと会社を出て行ってしまった。
それがどうにも気に食わなくて仕方ないのだ。
…だがしかし。
俺の問いかけに、
桐嶋さんは「うるせぇな、好きにさせろよ」と冷たい言葉を浴びせてくる。
「…今日は…
お前と一緒じゃ、
なんか上手くいかない気がした…」
「なにそれ」
呆れたように言ってから、
ふと隣に目を向けた。
「………」
黙り込む桐嶋さん。
その拗ねたような俯き加減の横顔には、微かに赤みが刺している。
…ああ。
この人、もしかして…
疑いが確信に変わると、俺はにんまり笑みを浮かべた。
「……桐嶋さーん。
ちょっと俺のこと、意識し過ぎなんじゃないですか?」
それで一日中まともに口聞いてくれなかったわけか。
からかうようにして言ってやると、
すかさず椅子を蹴ってきたが、特に否定はされなかった。
「仕方ねぇだろーが、
昨日あんな事があった後じゃ…!」
すがるように好きだ好きだと繰り返してきた俺に対し、桐嶋さんにとって昨日の告白とは、
本当に勇気のいるものだったんだろう。
それに加え、男の俺の手であんな風に乱されたとあっちゃ…
本番は後日へ控えたにしろ、
今回の件は相当な事件として、桐嶋寛人の歴史に刻まれたことだろう。
桐嶋さんは顔を覆って、
デスクに突っ伏しながら続けた。
「つーか。
こんなんじゃ、絶対すぐバレる…
お前はチラチラこっち見てくるし、
何より…近くに居るなら……
…好きだってのは…隠せねぇ…」
か…可愛い…!
段々語尾が弱くなっていくこの人に、
俺は心の中で悶絶していた。
今までの素っ気ない態度の裏側に、そんな素直な気持ちがひそんでたりするから叶わない。
カラカラと椅子を寄せると、
俺はその耳元に顔を近づける。
「桐嶋さん…今夜は俺の家来てください。
休日も一緒に過ごしましょうよ」
「いい……けど!
おい、なんか近ぇぞッ」
誰も居ないんだから、そんなに気にすることないのに…仕方ない人だなぁ。
押し返してくる手を無視して、ただ気任せに抱き寄せてやった。
「今夜はお酒、やめましょうね。
あんまりお腹いっぱいにするのもダメです」
「わ、わかった…
わかってるから…んむッ!?」
形良く柔らかい唇に口付ける。
驚いて退けた背中を支え、椅子から落ちないようにもっと近くへと引きつけた。
「さく…んぅ、ふッ…」
勿論ながら容赦なく抵抗してくる桐嶋さんだったが、キスが好きなのは既に知っているからこっちのもんだ。
しばらく角度を変えて吸い付いていると、
睨みをきかせていた切れ長が、徐々にとろんとし始めた。
「んん…はっ…」
しかし逆に、
腕に込もる力は強くなるばかりで、
何度も繰り返すうち、丁度「流石にやばいかな」と思い始めた時に、
案の定、思い切り床にはっ倒された。
「はぁッ…はぁ…
ふざけんなお前、
こんな所で何すんだ…」
「は、はは…失礼しました」
オフィスの床に仰向けになったまま、
かなり低めのアングルから、息を切らす桐嶋さんを見上げた。
見上げているうちに、
昨夜を思い出した下腹部が、ふつふつと熱くなってきたりした。
「…桐嶋さん……
早く抱きたい…」
「そういうこと言うのやめろって、馬鹿野郎…ッ」
可哀想なくらい真っ赤になってるが、やはり
真面目なこの人だ。
オフィス内で手を出したことには、本気で怒っているように思われる。
「…すいませんでした。
つい抑えきれずに」
慌てて立ち上がり、頭を下げると、
桐嶋さんは黙って肩を軽く小突いてきた。
「……桐嶋さん…?」
小突いた手がするすると移動して、俺のスーツの裾をぎゅっと掴む。
高揚し潤み出した目。
火照った顔は変わらず、
近距離で聞く吐息は震えていて、
思わず心臓がドキッと跳ねる感覚を覚えた。
「もういい…
いいから早く…
…お前ん家、連れてけよ」
やがて口を開いた桐嶋さんが、
かなり切羽詰った声で放った言葉は…
酷く投げやりなようで、彼の覚悟の現れであり、
今年最後にして、
俺への最高の許可令だった。
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