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休日の朝はこの人と
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こんなに幸せなことがあるだろうか。
朝目覚めると、
てろんてろんにくたびれた俺のTシャツを着た桐嶋さんが、
隣で静かな寝息を立てて眠っているだなんて。
その腕はやはり俺をしっかり捕まえていて、実はあんまり身動きが取れないだなんて。
「………まじか…」
本当に俺のこと抱き枕扱いするんだから。
頑張って腕だけ引き抜くと、目の前にいる桐嶋さんをじっと覗き込む。
端正な顔は、じっとして目を閉じていると、人形のようにも思われた。
影を落とす長い睫毛に、少しだけ開いた唇。
髪はいつものセットを崩して、何だか幼いような色っぽいような、普段とは違った魅力を感じる。
(可愛いなぁ…)
前髪を掻き上げ、するりと頬を撫でると、
瞼がピクリと動いた。
「ん……さく、らば…?」
「あ。すいません、
起こしちゃいましたか」
「別にいい……今何時」
寝ぼけ眼をごしごしと擦り、
さり気なく俺の髪に顔を埋めてくる桐嶋さん。
「えっと、9時半です」
「チッ…寝過ぎたな」
休日でなきゃ寝坊じゃねぇか、と言って呆れ笑いを浮かべた桐嶋さんが、狭いベッドで寝返りを打った。
若干声、枯れてるな。
沢山寝た割には疲れてそうだし……やはり昨夜が堪えているのだろうか。
「あーだり…ちょっと顔洗うわ」
「むり、いやです。桐嶋さん行かないで」
俺を跨いで扉に向かおうとするのをガシッと掴むと、足場の悪いベッドで体制を崩した桐嶋さんが倒れてきた。
にやりと笑う俺。
「捕まえたっ」
「馬っ鹿…朝からベタベタすんじゃねぇよ。
お前もさっさと起きろ」
俺にしがみついて寝てた人が良く言うよ…
茶褐色の瞳をじっと眺めながら、
またじっと眺め過ぎて不審がられながら、
この目が昨夜は、涙に濡れて焦点の合わないまま、おぼろげに俺を見つめ返してきたなぁ…
とかそんなことを考えた。
「おい、離せって。何だよじろじろと…」
「……ねぇ、桐嶋さん…」
「だから何だよ」
呆れながらもちゃんと返事を返してくれる。
俺は、
隙あらば俺の髪の毛をぐしゃぐしゃと掻き回してくる桐嶋さん(もはや癖)から熱っぽい視線を外さないまま、
すっと扉の方をゆびさした。
「お風呂、入りましょうよ」
「…へ?」
「朝風呂。…俺と一緒に」
唐突な言葉に戸惑った様子の桐嶋さん。
その後で、
恋人なら快諾して普通なのか、いつもみたいに思い切り拒否してやる所なのか。
その二択で迷っているのが、手に取るようにわかった。
昨夜はあんな感じで身体洗ってないし、
この人も朝にシャワー浴びるタイプだし、
丁度良いじゃないか。
なに、別に如何わしいことは考えてないさ。
「いいでしょ? 桐嶋さん」
にっこり満面の笑みを浮かべる俺に、
桐嶋さんは、
嫌な予感しかしない、って顔を見せた。
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イチャコライチャコラしやがって。←
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