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身支度長い奴、お茶する奴
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待ち合わせ場所は、隣町にある噴水広場だった。幸い、トキワの家から馬車で30分、約1時間の遅刻で済んだ。
「チッ、誰も居ねえ。」
トキワ以外のメンバーが見当たらない。待ち切れず、先に出掛けた可能性も捨て切れないが如何したものか。幸い、ナツメに持たされた支度金の一部が財布に入っている。ここで暫くは待ち、飽きたら、この金でぶらぶらして昼飯でも食って家に帰るという選択肢もある。
ラブレターと贈り物の入った手荷物を足元に置き、無精髭を撫でながら考えていると、聞き覚えのある声がした。
「あーん、待たせてごめんねえ。遅くなっちゃったあ。化粧に時間がかかっちゃってえ。」
トキワに手を振り、大きなトランクケースを転がしながら美少女が内股で駆けて来た。メンバーの一人、特殊技能者のマリンだ。
「…うん。」
トキワは取り敢えず頷く。マリンはピンクの宝石が散りばめられた大きな手鏡を取り出し、早速、緑の目を覆うマスカラの出来を確認して、小走りした時に跳ねた自慢のストレートヘアーを丁寧に櫛で梳いた。薄いピンクに染めた髪が腰まで覆っている。
「やん、グロスの色は違うのが良かったかなぁ。ねえトキワ、如何思う?」
「あー。うん。グロス、グロスね。黒とかが良かったかなあー。」
グロスって何だ、黒で正解なのか?皆目分からないが、マリンは今日も凄まじく美少女だった。良い匂いもする。
フリルの付いた白いミニスカート、セーラー服の様な形の服。太腿半ばのニーハイ。しかし、惜しむらくは大きなピンクのリボンに隠された胸だ。何の膨らみも無い広野が広がる。それでもまあ良い、美少女と温泉旅行など、願ったり叶ったりではないか。あわよくば混浴に浸かりてえと、トキワは既に鼻の下が伸び始めている。
「えー、黒?それは思いつかなかったなあ。ごめんね、黒は持ってないの。」
「いや、良いさ。」
如何やら黒でも有りだった様だと、何とか会話が成立した事にほっとする。
「あら、カイは?まだなの?」
「いや、ここに居る。」
最後のメンバーのカイがコーヒー片手に微笑む。彼は噴水広場に面したカフェテラスで、女性二人に囲まれ優雅にお茶を楽しんでいた。眩い金髪、この国に多い緑の瞳、整った顔立ち、完璧なスタイル…彼もまた特殊技能者である。
「素敵なひと時を過ごせたよお嬢様方。有難う。」
カイがテーブルを立つ、惜しむ女性達に手を振り、トキワとマリンの元へ来た。
「さてと、出発しますか。」
トキワの合図で漸く、三人の旅立ちの時が来た。
「3泊4日で旅館を予約してあるよ。」
カイが自分の手荷物を肩に下げ、マリンのトランクケースを転がすのを手伝いながら言った。三人は噴水広場の近くにある、遠乗り用の馬車停留所へ向かって移動している。
「うふふ。温泉旅行なんて久し振りだわ。」
「マリンもか、俺もだぜ。あ、どうせなら一緒に入らねえ?」
「ええ、いいわね。」
あっさり頷く。トキワはよし!と拳を固めた。子供がいない今、存分に温泉旅行で酒と女を楽しみたい。
「じゃあ、三人で親睦を深めよう。」
カイが爽やかに笑う。いや、お前は別に要らねえよ。そうは思うが、トキワはしかし最年長の余裕を見せて頷いてやった。
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