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何でも。
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待ち合わせ場所にわざと5分遅れて向かう。
その5分という間は、待つ相手にとってはとても長い時間で。
もう、来ないんじゃないかという錯覚に襲われる程の効果を持つ、丁度いいものだ。
「……!」
彼が僕を見つけて、席を立つ。僕が来たことに安心しているのか、不安になっているのか分からない表情をしていた。
「せんせ、」
「”俺、実は本当に見た目通り不良で、昨日も仲間と偶然会って、本を読んでいるのがバレるのを防ぐために他人のフリをしました。”」
だろう?と問いかけてみると、彼は狐に化かされたような顔をしていた。
小説を書いていると、やはりいい意味でも悪い意味でも想像力が働いてしまう。
だいたい、こんなもんだろうと予測はしていたんだがね。
「…、すみません。こっちから誘ったのに、あんな酷い仕打ちをしてしまって、」
「何、気にすることないんだよ。おっさんなのは事実なんだから。」
そういうと、彼はとてもいたたまれない顔をした。ふむ、予測通り。
このままの調子だったら、僕の考えが実現してくれるかもしれない。
「…っ、あの、なにか、お礼できませんか、」
来た。
「俺が出来る範囲なら、何でも言いつけて下さい。」
彼はとてもとても優しい不良だ。そして賢い。
僕の望んでいることをすんなりと言ってくれた。
でも、はたから見るとこれはかなりのマゾヒストな発言ではないのだろうか。
まぁ、それも興奮するが。
「……、何でも、ねぇ。」
「はいっ、…!」
君、あまり何でもなんて言葉を使うもんじゃないよ。
”何でも”というのは限度を限られていない、無限に繋がる魔法の言葉だ。
じゃあ、僕とセックスして下さい。なんて言っても安易には断れないんだよ。(警察に連れて行かれたら一貫の終わりだが。)
文豪青年も、まだまだ青いものだ。愛らしい。
「じゃあ……、
これから、僕の事をアンタって呼んでくれないか?」
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