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名前
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希理。それが俺の名前。
母さんと父さんが希望にむかって正しい道を進めるようにって付けてくれた名前。
小さな頃っていうか、本当は最近までこの名前は好きになれなかった。
小学校の頃はイントネーションからいじられてたし、〝きり〟と聞いて最初に思いつくのはやっぱり〝霧〟で。
母さんと父さんが、ちゃんとした意味を持ってつけてくれてたのは知ってたけど、そんなこと、一々説明なんてできないし。
少し女の子っぽい感じも好きじゃなかった。
でも要さんに初めて名前を呼ばれた時、それも好きになれたんだ。
「希理?」
「はい。希望の希に理科の理で希理です。変ですよね〝きり〟なんて名前。」
「なんで?希望の希に正しい道って意味の理なんて素敵なのに。」
「すっ素敵なんて、初めて言われた……」
「ははっ本当に?俺は好きだよ。希理って名前。……希理って呼んでもいい?」
「えっ?!はっはい!ぜっぜひですっ!!」
「ふふっどもりすぎ……〝希理〟くん。」
もしかしたら、この時にはもう要さんに恋してたのかも。
大学に進んでしまった要さんには俺が求めない以上会うことはない。
もうあの声で、あの顔で希理と呼んでもらえることはないのかもしれない。
そう思ったら涙が溢れてきそうで、無理やり馬鹿みたいに笑い続けた。
けど、疾風はそんな俺に気づいたのか俺の頭を撫でてくれて。
そんなことされたら逆に泣いてしまいますよ。疾風さん。
でも、
ごめん。今だけはその手に甘えさせて。
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