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guileless
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ああ… もう… こんな…
『βの俺』
何ホッとしてるんだよ
もう嫌だ
こんな… 一々心が乱されて… こんなの…僕じゃない…
頭を冷やしたくて向かった水道前
勢い良く水を出し 流れていく様を見ていたら
隣から手が伸びてきてキュッと音を立てて蛇口が捻られた
それと同時に 喧しい声が耳を貫いていく
「こらこらメガネ君‼︎
使わない時は止めるって 赤葦がいつも言ってるぞ‼︎」
「…すみません」
正直 こういうタイプは一番苦手だ
赤葦さんも居ないし さらっとやり過ごすのが一番だ
軽く頭を下げて横をすり抜けようとするも
ガシッと腕を捕まれてしまい 口角が引きつく
「…俺 メガネ君に訊きたい事があるんだよ」
真剣な眼差しに ゴクリと喉が鳴る
赤葦さんが 僕がΩである事を言うとは考えにくい
だとしたら…
「…なんですか⁇」
もしそうだったらと思うだけで
心臓を切先で突かれてる様な気持ちになる
瞳にまで浸透してきそうで 無意識に唇を噛み締めていた
「どうやったら赤葦とあんな親密になれるんだ⁇」
「…は⁇」
自分でも驚く程間抜けな声が出てしまった
いまいち言ってる事が理解出来ず
何度か瞬きを繰り返していると
今度は僕の肩を掴んで揺さぶってきた
「だーかーら‼︎ どうやったら ちょっとの時間で
赤葦とあんな仲良くなれんの⁉︎」
「…どうって…別に…」
説明の仕方を考えているうちに ふと疑問が浮かんだ
なんでこの人は こんな事を僕に訊いてくるんだろうか⁇
だって…
「あの…」
「ん⁇」
「貴方は…赤葦さんと番じゃないんですか⁇」
僕の質問に 若干目を潤ませたかと思うと
水道の脇で体育座りをしながら蹲ってしまった
「え⁇ え⁉︎ な なんか…すみません…」
違うのか…
いつも一緒にいるし
この人の赤葦さん好き好きオーラ凄いから てっきり…
「…俺 赤葦の条件 中々クリア出来なくて…」
「条件⁇」
「…うん」
小さい子の様にショボくれている様はとてもじゃないけど
全国5本の指に入るスパイカーには見えない
仕方ないので 僕もその場にしゃがみ込むと
その話に付き合う事にしたのだった
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