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誤算(ルイside)片想い編
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乱れたベッドの隣で、死んだように眠るハルトを見た。
存在そのものがウザい。
何かと言えばリューに纏わりつき、人の陰に隠れる女々しさも、メガネの奥に隠れた気弱で物言いたげな瞳も、オドオドし過ぎて、もはや我慢の限界を試されているかのような話っぷりも。
何もかもが勘に触り、神経を苛立たせた。
出会った年端もいかない頃から、我慢に我慢を重ねて、今に至る。
こんなヤツ、リューがいなければとっくの昔からに縁を切っている。
心から、そう思っていたはずなのに。
すべてが一変したのは、ほんの数時間前のことだった。
数時間前、思えば八つ当たりとしか言いようのない怒りの中で、乱暴にハルトの部屋のドアを叩いた。
なぜ士郎を敷地内に入れた?
セキュリティー全般を担っているのはハルトだ。
ボーッとしやがって、まともに仕事もできないのかと、詰ってやるつもりだった。
だが、ドアが開くなり飛びついてきたハルトは、自分をリューと呼んだ。
嬉しい、戻ってきてくれたんだと、舌ったらずで、たどたどしい、けれど胸を打つほどの必死さで、すがられた。
こんな風に感情を爆発させるハルトは見たことがない。
顔をグシャグシャにして泣きじゃくる姿に、うまく言葉が出なかった。
たった一言、自分は龍之介ではないと言えばいいだけのはずなのに。
なまじ同じ相手を長年見つめてきただけに、おかしなほど痛みにシンクロしてしまい、結局は何も言えなかった。
戸惑っているうちに腕を引かれ、ベッドに寝かされ、のしかかられてしまう。
さすがにこの先の展開が予想できてしまい、目を見開いて抵抗したが、錯乱したハルトの力は半生半可なものではなかった。
細いくせに、しっかりと筋肉の乗った身体はしなやかで、適度な弾力がある。
作戦中、どんな過酷な状況に置かれても、思えば弱音を吐いたことは一度もなかったように思う。
体力も腕力も、確実に人並み以上。
この恵まれない体格で、いったいどれほどの努力を積み重ねてきたのか、今更ながらに思い知らされた気がした。
揉み合っているうちに、こちらの指先が当たり、ハルトのかけているゴーグル状のメガネが外れた。
「リュー……」
メガネと厚い前髪の向こうに現れた、予想を遥かに上回る繊細で美しい造りの素顔に、唖然とした。
思えば10年以上も共に過ごしてきたのに、まともに顔を見た覚えがなかった。
心底嫌っていたのだから、顔なんてろくに見ねぇよと思いつつ、いくら何でもこれは反則だろうと焦る端から、唇を奪われ、深く舌を絡め取られてしまう。
こぼれる吐息は、絹糸のように細く艶やかに、余韻を残して響いた。
「……リュー」
愛しい人の名前を呼ぶ、甘やかな声。
下肢に触れられると、ズクンと全身に甘い痺れが広がった。
ヤバイ……。
理性に反し、反応する身体に焦りが募る。
「勃ってる……嬉し……」
ほわんとした、子供のような無邪気な笑顔が、あまりにも愛らしくて。
見惚れていると、濡れた感触に先端を包まれ、ギョッとした。
「……っ!?」
いつ脱がされたのだろう?
まったく覚えがなかった。
キーボードを高速で操る指先は、なおも器用に下着の奥を探り、瞬く間に双球を捕らえられてしまう。
「…ぅ…ぁ…っ」
男のものとは思えないほどやわらかで弾力のある手の平だった。
包まれて、転がされるだけで、たまらない快感が背筋をはい上がってくる。
もはや、のっぴきならないところまで追い詰められると、ハルトが全身着込んだまま、尻だけを出した扇情的な姿で、双丘の奥を自ら解し始めた。
「……ん…ぁ…っ、リュー……」
見て……、と、うっとり見つめられると、全身を訳のわからない衝動が走った。
ゾワリと肌が泡立ち、鼓動は驚くほど早く、胸を突き破るほどに大きく響き、下肢に集まった熱が放出を求めて、理性を溶かそうと暴れ出す。
やがて首筋に腕を絡められ、対面座位の形でのしかかられた。
ふわりとミルクのような甘い匂いがして、ヌルヌルとヌメッた後腔に呑み込まれていく。
「ん…っ…あ…おっき…っ…」
甘えかかるような声。
「ぁ…っ」
脳の奥が痺れるような快感だった。
つながっているだけで、緩急の効いた締めつけに、芯から沸騰しそうになる。
動かなくてこれなら、いったいこの先どうなるなってしまうのだろう?
この熱に包まれ、どこまでも深く果てたい欲と、果てたら何かが終わると諌める理性が、荒れ狂う海のように頭の芯を混乱させた。
「す…き…っ」
ハルトのなめらかな頬を、ポロポロと透明な雫が伝い落ちていく。
「……っ」
「大好き……」
宝石のように清らかな涙だった。
好き……?
胸がキュッと、痛いほど締めつけられる。
守りたい、抱きしめたい、やさしくしてやりたい……。
ありとあらゆる温かくてやわらかな感情が、自分を包むのを感じた。
「リュー……」
今度は、果てしない痛みを覚えた。
なぜ自分に抱かれながら、他の男の名前を呼ぶ?
許せなくて、それ以上の言葉を封じるように、強引に唇を奪った。
信じられないほどのやわらかさに、夢中になった。
「ぁ…ふ…っ」
舌を絡めると、甘い。
何だこれは……?
こんな口づけは知らない。
細胞の一つ一つが泡立つように震えた。
永遠にこのままでいたい……。
舐めて、吸って、甘噛みして、溶かして。
「や……、くすぐった……」
ハルトがクスッと笑い、いやいやをする。
何だそれ……?
かわい過ぎんだろ。
どんどん思考が、おかしなことになっていく。
「ね…、も…して…?」
強請るように、締めつけられた瞬間、最後の理性が焼き切れた。
細い肩を押して、ベッドに横たえると、大きく腰を使った。
「あ…っ…ふぁ…」
瞳の奥がとろけ、際限なく甘い声が上がる。
「きも…ち…っ、あんっ、い…よぉ…」
細波のような震えと、締めつけに、あっという間に登り詰め、ビュクビュクッ、と勢いよく奥に放ってしまう。
同時に、ハルトの昂りが押しつけられていた腹の辺りが、ジワリと濡れた。
指先まで痺れるほどの深い到達感から立ち直るまでに、しばらくかかった。
呼吸を整えながら、ようやく呆然としながらも身体を起こせば、
「や……」
足りないと口づけられ、再び脚を絡められる。
それだけで、埋めたままの雄が再び熱を持った。
唇の狭間から忍び込んでくる舌は、まるで媚薬のように甘く、脳の奥深くがとろけていく。
もはや、なるようになれと、開き直った。
どこもかしこも、しっとりと吸いつくようになめらかで、薄っすらと綺麗な筋肉の乗った身体は、骨張っているのに不思議なやわらかさがあった。
最後は痙攣したまま意識を失ったハルトを抱きしめたまま、呆然とした。
何度放ったかさえ、覚えていない。
未だつながったままの結合部に恐る恐る目をやれば、自らの放った白濁が溢れて泡立ち、繰り返された抽送で、ぷっくりと紅く腫れ上がっていた。
扇情的な光景に目を奪われ、思わず指先で撫でると、
「ん……」
キュッと締まり、中がうごめき、またもや、もっていかれそうになる。
戦闘明けにリューやマコトを含めて抱き合ったことはあったが、嬲るように抱いたハルトの身体は、けしてこんな風ではなかった気がした。
相手がリューだから……か?
好きな相手には、どこまでも甘く、淫らに溶ける。
この苛立ちは何だと、拳を握りしめた。
わかっていても、認めたくなどなかった。
さんざん蔑んできた相手だ。
今さら、どの面下げて言えばいい?
……おまえが欲しいだなんて。
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