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変化(ハルトside)片想い編
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抱かれた翌日、ほんの少しだけ、ルイの態度はおかしかった。
必死に平静を装っているような。
「……あ」
廊下で、ごっつんこ。
「……痛っ」
「……っ」
ほのかに甘い香りが、ルイの長い髪から漂った。
昨夜の熱が蘇る。
バッと目を逸らすと、頭上から大きなため息が降ってきた。
恐る恐る見上げれば、苛立ち、傷ついたような瞳とぶつかった。
「あ……」
どうしたのかと問いかける前に、足早に去っていく。
いつもなら絡まれなかったことに間違いなくホッとしたはずなのに、綺麗に背筋の伸びた背中が、なぜだろう、たまらなく悲しくて。
拒まれ、冷たくされることなど、もはや当たり前だったはずなのに、やさしかった夜の記憶が胸を苦しくさせた。
あの夜に関して、ルイは何も触れてこない。
まるで何もなかったみたいだ。
胸をギュッとつかまれたように、息が苦しくなる。
訳のわからない感情から逃れたくて、背を向けた。
いきなりの全力疾走に、抱かれ過ぎて上手く力の入らない足が、もつれた。
とっさに伸びてきた腕に、抱き寄せられた。
「バカが…っ」
トクン、トクン。
少し早い心臓の音が聞こえた。
トクン、トクン。
助けてくれた……?
驚いて見つめれば、途端に視線をそらされた。
「……さっさと行け」
トン、と背中を押された。
腕を組み、廊下に背もたれ、再度アゴの動きで促される。
じっと、うかがうように見つめていると、
「……何だ?」
今度こそキツく、睨まれた。
反射的に身体は震えたけれど、なぜだろう?
いつもより怖くなかった。
なぜ、そこにいるの?
もしかして、転びそうになったから、心配で……?
「あ…の……」
ありがとうが、どうしても上手く出てこなくて、代わりにペコリと頭を下げた。
驚いたように、ルイが目を見開いた。
再び、ぶつかる視線。
やっぱり、怖くない。
……どうして?
オレのこと、嫌いじゃないの……?
ルイが何を考えているのか、わからなかった。
もどかしくて、焦れったくて。
このまま別れてしまうのはどうしても心残りで、動けずにいると、痺れを切らしたルイが近づいてきた。
そのまま、肩で背負うように乱暴に抱き上げられてしまう。
「具合いが悪いなら、おとなしく部屋で寝てろ!」
まるで荷物のように部屋まで運ばれ、ベッドに投げ出された。
昨日、ここで、この人と……。
トクン、トクン。
熱が出そうだ。
「……っ、そんな目で見るな…っ」
ルイがかすれた声で言って、背を向けた。
独り取り残されると、再び胸がギュッとなる。
もうちょっと、一緒にいたかった……な。
手を伸ばしたら、また昨日みたいにしてくれた?
それともやっぱり、誰がおまえなんかと、って、拒まれるのかな。
……やっぱり、言えない。
拒まれたら、胸が潰れそうだ。
自分の前では、いつも仏頂面のルイ。
笑ってくれたら、いいのに。
太陽の色をした綺麗な髪をかき上げて、ほんの少し目を細めて、口元を緩めて。
想像したら、たまらない気持ちになって、昨夜自分を駆け抜けていった熱を思い出しながら、ためらいがちに下肢に指を伸ばした。
いつも一人でする時は、決まってリューを想うのに、生まれて初めて、他の人を想った。
「ん…っ」
こんなこと、知られたらきっと嫌われる。
秘密にしないと。
でも、想像するくらいは、いいよね。
熱く激しく求められる想像に、束の間、酔った。
昨夜さんざん放ったせいか、ぱたぱた…、とほんの数滴、溢れて終わる。
足りない……。
後ろに舐めて濡らした指を伸ばし、熱をもったままの入り口に触れた。
グッと力をこめ、狂ったように中を掻き回す。
一番いいところを擦りながら、ルイの熱を想う。
大好きなリュー……。
その気持ちは少しも変わらないまま、新たに芽生えた想いが心を揺らす。
オマエもいい加減、誰かを見つけろと言ったリューの声が、達する瞬間、儚く脳裏を過って消えた。
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