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4 密かな脆弱
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「三秋くん、もっと食べないとダメだよ」
昼休み
いつも通りの賑わいを見せる食堂で、何故か成瀬から説教を受ける。
これもこれも、と言いながら成瀬が自分のお皿から野菜やら唐揚げやらを寄越して来るので、それを止めるので精一杯だ。
何故こんな事をしてるんだろう、と思う。
ただでさえ今日は食欲が無かったのに、皿に盛られたボリュームたっぷりな定食に溜息が出そうだ。
食べる気が無いのに食堂なんかに来てしまったのは、言わずもがな成瀬に誘われたからである。
成瀬の家は偶然にも同じ方向で、あの日から朝も一緒に登校するようになった。
3日間登下校を共にするとやはり、距離は近くなるもので…
昼に誘われたって別段おかしな事では無いし、そもそも普段から昼食は一人なので嫌な気もしないんだけど。
「見てるだけで腹が膨れそうだ…」
半ば強引に頼まされた定食を目の前にして、一口目から挫けそうになる。
一度は今日は食べる気がないと断ったのだが、それは彼の親切心が許さないらしい。
まるで世話焼きな母親のように“三食きっちり食べなきゃダメだ”とぐいぐい引っ張るもんだから、どうしたって断りきれなかった。
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