アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
4
-
「三秋くん、今日はずっと上の空でしょう?週末だから疲れが溜まってるのかな、なんて」
その言葉に少しどきっとする。
そう、今日は金曜日だ。
この日は何時だって食欲が出ない。
だけど、それは何時もの事なんだ。
こんなに考え込んでしまうのは初めてで、きっとそれは…
「って言うのは建て前で、本当は他に、三秋くんの頭の中を占領しちゃう人が居るんだよね」
問いかける、と言うよりは確認といった様子で微笑まれて顔が熱くなった。
成瀬は全て分かっているんだろう。
「妬けちゃうなあ。三秋くん、ずっと南河くんの事気にしてるんだから」
無意識に唇に力が入る。
成瀬が言う通り、全て南河のせいだ。
学校に来る気配なんて感じられないし、わかっているのに、気が付けばあいつの事を考えてる自分が居る。
「三秋くんにとって南河君は大切な存在だったんだね」
「た、大切…とか、じゃないんだが。……良く分からないんだ」
相手が冗談めいた口調で言ってくれなければ、今頃恥ずかしさのあまり食堂を飛び出して居たかもしれない。
それでもここに留まる理由は、相手が成瀬だからか、それとも自分が変わってしまったからか…。
本当に大切なんかじゃない
そもそも、あいつとの関係を大事に出来るほど関わってすらない。
頭はそう言うが、何故かモヤモヤとした感情が引っかかって離れてくれない。
正直、自分でも上手く整理出来なくて困っている。
自分で自分がわからなくて優しい友人を頼ってしまうなんて、情けなくて穴があったら入りたい位だ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
79 / 102