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少し先に歩いて行く彼の後ろ姿を追うがやはりどうしても頭の中がすっきりしなくて、ぼんやり頭一つ分以上は上にありそうな後ろ髪を見上げる。
どうして、なんで、とか同じ様な考えばかり巡って、遂には信じられない思いが浮かんでしまった所で反射的に立ち止まった。
「…あ?何だよ」
鳴りやんだ足音に気が付いて振り向いた相手に、珍しく不思議そうな顔をして問いかけられる。
「な、何って…」
上手く返せない。
だって、自分でも分からないんだ。
「考え事か?何だ、その顔」
怪訝そうな表情のままわざわざ引き返して来て
間近で俺の顔を覗いた途端、その瞳が心底楽しそうに、それでいて何となく何かを愛でる時の様に笑うのが見えた。
俺は、今どんな顔をしてるんだろう。
「何考えてんだって。言えよ」
「い……言えない」
妙に緊張しながら返答すると、相手は何時ものつまらなさそうな目つきに戻りチッと舌打ちをした。
また黙って先を歩いて行くが、先程より随分歩くペースが速い。
生意気な返答をしてしまっただろうか。
だけど仕方がない。
だって、言える訳無いじゃないか…
今日、南河に会えたら
なんて、思ってしまったなんて────。
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