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一度びくりと肩を揺らし、振り返った彼の顔は青い。
それは一見してアルコールによるものの様に思えたが、原因は別にあるとすぐに勘づいた。
「な、南河(ナミカワ)…なんでこんな所に…」
「それはこっちの台詞だし、別に俺がこういう野蛮な場所に居たって驚くことはないだろ。」
金に染めた髪にピアス、だらしない服装は、ここら辺にいる奴らとなんら変わりない。
責めるように言うと、濡れた瞳が動揺に揺らいだ。
堅苦しいくらいに正しく着ていると思っていた制服は、暑いのか第一ボタンが外されている。
よく見るとネクタイも緩んでいた。
「委員長が、こんな夜遅くに酒飲んでいいのかよ。」
「…っ!」
少し楽しむように笑う俺を、何時もの鋭い目で見上げてきた。
「もしかして、女と遊んでた?」
「……は?」
今度は間の抜けた声が返ってくる。
そういえば、こんなに目が合うのも話すのも初めてだ。
「この辺、そういう店多いだろ。委員長って、意外とヤリチンなんだな」
「なっ…!?そんな事、する訳ないだろ!」
一層きつくなった視線が俺を射る。
見慣れた目つきだ。
何時もと違うのは、少しだけ着崩された制服と、余裕の無い表情。
たったそれだけなのにまるで別人のように見えた。
何時もの近寄り難い程の貫禄を忘れてしまった彼と、同じようにしゃがみ込む。
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