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2 南河の敗北
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「朝から学校に居るなんて、何時ぶりの光景だよー」
遅刻ギリギリに来た俺に、木乃(キノ)が目を丸くして寄って来た。
窓側、一番前の席では委員長が口を開けている。
間抜けな顔をしているのは2人だけでなく、クラスの大半が歓声とも言えないざわめきを立てている。
それ位、俺が今ここに居るのが珍しい事なのだ。
その一部には怪訝そうな顔をする奴も少なくない。
校則なんて無い事の様な格好で、学生の鑑の様な委員長の後ろの席に腰を下ろした。
座り慣れない窮屈さに耐えかね、足を机の上へ預ける。
「おい、そこはお前の席じゃない」
前の黒髪が揺れ、きつい目が俺を捉えた。
まるであの夜の続きのようだ。
「ああ、久しぶりで自分の席忘れちまったんだよ」
受け流すようにそう言って、近くに居た男子生徒に目を向ける。
「いいよなあ?」
視線が合ってしまった男はひゅっと息を吸い込み、肩をすぼめた。
「あ、は、はい…いいと思います」
ぎこちない笑みを浮かべ、自分の足元を見て答える。
落とした視線を上げる気はないと訴えるために、更に頭を下に向けた。
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