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だけどたぶん、俺には言わないだろう。
お互い軽蔑していたし、委員長は今も俺に関心なんてないだろうし。
「京(ケイ)君はたぶん、言わない。暁仁(アキト)がなんかしたんだろ」
自分が考えていた事を目の前の寺野に言葉にされ、驚く。
いや、それにも驚いたけど、ちょっと待て。
「ケイクン?」
小さい子供が言う発音で、まるでそんな単語があるかの様に聞き返す。
「京、委員長の名前」
何だそれは。
ぐっと眉間の皺が深くなる。
表情に釣られたかのように煙草の味が悪くなり、あぐらを掻いているコンクリートに押し付けた。
「へー、委員長ってそんな名前なんだ」
木乃が俺に向けていた視線をぱっと寺野に移す。
それと同様に、俺も内心驚いて居る。
クラスの誰からも“委員長”と呼ばれている彼の名は、普段から話したりする関係でないと知らないだろう。
もしかしたら、その中にも瞬時に思い出せない奴が居るかもしれない。
「お前、あいつと関わりがあったのかよ」
思ったより不機嫌な声が出て、はっとして押し付けた煙草から手を離した。
自分の感情が表に出ないように「意外だな」とだけ、付け加える。
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