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「お前、今日財布忘れたとか言ってなかったか?」
ご機嫌な声を聞いていた寺野が呆れた様に言うと、楽しそうにその店のショートケーキがどうとか言っていた木乃が瞬時に血相を変えた。
「うわああああ忘れてたああ!」
少しの間があった後、廊下に悲しみに満ちた声が響く。
えええ嘘だろ…財布を忘れた事を忘れるなんて、どれだけうっかりしているんだ。
大声を上げる木乃につい笑いそうになるが、本人は今にも泣き出しそうだ。
「じゃあ…今日は奢ってやる」
見兼ねた寺野が苦笑しながら木乃の頭を撫でると、ぱあっと雰囲気が明るくなった。
あるはずも無い尻尾が見える…。
寺野が可愛がる気持ちに初めて深く頷きたくなった。
…いや、寺野には多分、俺なんかよりも何倍も可愛く見えて居るんだろうなあ。
癒されながら、「家族にも買って帰ろう」とか、「明日は俺が奢る」とか会話を続けてた二人にバレないように玄関に向かう。
あんなに楽しそうにしているのを邪魔したくはないし、やっぱり二人で居て欲しい。
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