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「じゃあ、放課後迎えに行くね」
返事をする前にもう決まった事のように言われ、それなのに反応する事が出来なかった。
…いや、もう決まっていたんだ。
これ以上寺野に迷惑を掛けるのは心苦しい
この男は、そんな俺の気持ちを見抜いている。
「あ…俺の教室」
「B組でしょ?」
言葉が見つからなくて、ただ相手を見る。
全く、本当にずっと相手のペースにのまれたままだ。
「…俺、君の名前も知らないんだけど」
「ああ、ふふ。そうだったね、僕は成瀬 葵(ナルセ アオイ)」
「そうじゃなくて、俺達、初対面だよな?」
少しは不自然に感じていたが、ここまで来ると聞かずには居られない。
「どうしてそんなに俺の事を知ってるんだ」
クラスだけじゃなく、初めて会った時から名前も知っていた。
いや、それらは噂が耳に入った時に知ったのかもしれないが…何ていうかきっと…表面上だけでなく、俺の内側まで知られている。
「どうして、って…」
自分自身でも気づけていないような所まで。
「どうしてだと思う?」
その瞬間、チャイムが鳴った。
小さく首を傾げる姿は様になっているが、意味ありげに浮かべた笑みが何故か俺を不安にさせた。
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