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「予鈴鳴っちゃったね、戻ろうか」
しかしそう言うと、深く問い詰める前に席を離れてしまう。
慌てて最後の一口を掻き込み追い掛けるが、急ぐ必要は無かった様だ
少し先で待ってくれていた。
「あの…成瀬」
「ん?」
話の続きをしようとトレイを返却口に置いて知ったばかりの名を呼ぶが、その表情はもう自然なものに戻っていて、今更掘り返せる事では無いと悟る。
わざとだ。
俺がさっきの会話を引き摺っているのを分かっていながら、もう終わった事のように振舞っている。
どうしてはっきり答えてくれないんだろう。
何か訳があるとか、本当は会った事がある?
いや、それだけなら隠す必要がない。
「…放課後、待ってる」
しかし聞いたってはぐらかされてしまいそうで、それだけ伝えた。
「うん、待っててね」
笑いながら軽く頭を撫でてくるものだから、まるで子供をあやしている様だと思ってしまう。
それでも拒否しないのはきっと、最近になって周りに甘やかされたせいだ。
離れていく背中を見て記憶と照らし合わせてみるが、やはり会ったことは無いようで、頭の中の何処を探しても成瀬の姿は無かった。
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