アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
3
-
「…怒ってないのか?」
恐る恐る訊ねると、寺野の眉間にぎゅっと皺が寄る。
「怒ってるよ、怒ってるけど…俺は京君が無事ならそれでいいから」
そんな漫画みたいな台詞を、怖い顔でぶっきらぼうに言う。
俺がそこらにいる女の子だったら、うっかり好きになってしまうレベルだ。
いや、男の俺だって少しだけドキっとした。
「だけど俺にはっきり言えないようじゃ、信用は出来ない。京君だってそうでしょう?ちゃんと信頼出来る相手なら、隠さずに言えるはずだ」
前言撤回
恋に落ちるには怖すぎる。
さっきとは全然別の意味で心臓に悪い。
寺野がまた溜息を吐いた。
一度目よりずっと深い溜息だ。
「…ごめん、京君を俺に縛り付けたい訳じゃ無いんだ。俺よりあいつの方が気を抜けるんなら、それでいい。だけど何かあったら直ぐに俺を呼んで」
その時には俺の事情とかそんなの、考えなくていいから
なんて付け加えながら、俺の手にマジックペンで数字を書いた。
寺野の電話番号だろう。
そう言えばまだ連絡先を知らなかった。
普段からあまり携帯をいじる方ではないし、家族以外の人とやり取りをする機会なんてのもないから、番号を登録するなんて考えも出てこなかったな。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
70 / 102