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奇妙なサブリーダー(士郎side)
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「相変わらず、かわいいなぁ。どうよカレンちゃん、今夜オジサンのお相手してくんねぇ?」
黙って微笑んでいれば、どこぞのモデルか芸能人かと周りが騒ぎ出しそうな、甘くさわやかな見た目なのだが、それを裏切りまくる実に食えない笑顔に、ひょうひょうとした物言い。
やわらかそうな茶髪と鳶色の瞳の20代後半と思しき長身の青年がやけに軽薄そうな笑みをたたえ、ヒラヒラと手を振りながら近づいてきた。
途端に目に見えてカレンの機嫌が急降下する。
「キモイんだよ、腐れビッチが!!」
「ひっでぇなぁ。ビッチはともかく、キモくも腐ってもねぇんだけど?」
「や、確実に賞味期限切れまくりだろ。てか、触んなっ、尻撫でるとか……ブッ殺す!!」
カレンの身軽な脚蹴りを難なくよけたかと思うと、腕をつかみ背後から抱き寄せて、ウェーブがかった髪にグリグリと己のアゴを押しつけた。
「はぁ……、若い子の匂いってば癒されるぅ」
隙のない鮮やかな身のこなしには身惚れたが、その言動はもはや完全に変態である。
「離せっ、つーかケツに当たってんだよ、このド変態が! 気色悪いもん押しつけんなっ」
「ははっ、嫌がられるとおじさん、ますます燃えちゃうなぁ」
ガッツリ羽交い締めに合いながら、必死の形相で逃れようとするカレンと、嬉々として腰を振りまくるユーリ。
あまりにシュールな光景を前に、脳内活動が一時的にショートしかけたが、何とか気持ちを立て直すと気が進まないながらも割って入った。
「……本気で嫌がっているようですし、それくらいにしてもらえませんか?」
「助けんの遅っせぇし!」
「……すまない」
だがその実、大して危険なようには思えなかったし、何より呆気に取られて身体が動かなかったのだから仕方がない。
「つーか、君ってば誰かなぁ?」
じーっと瞳をのぞき込まれて、慌てて居住まいを正す。
男の組織内での立場や龍之介との関係は不明だが、明らかに年上と思しき相手に対し礼を尽くすのは、ごく当然のことに思えたからだ。
「士郎といいます。龍之介に会いにきました」
途端に男が破顔した。
「シロちゃん!?」
「……!?」
いきなり抱きつかれて、カレンともども絶句する。
「もー、めっちゃ会いたかったし! つーか予想以上にイイ男で嬉しいぜ! 初めまして、サブリーダーのユーリです! 少々年食ってるけど、まだまだケツの締まりは最高だし、喉奥使ったフェラテクには自信あり! 1分くれれば天国見せてあげるよー?」
「……っ」
「すっごい引き方だなぁ、おい」
まぁ気持ちはわかるけどよ、とカレンが半眼になりながら、ようやく魔の手から逃れられた安堵を隠さず、明後日の方を向いて吐息した。
「つーか、こいつに手ぇ出してみろ、確実に血の雨が降んだろ」
「降るか……? やっぱ降るよなぁ……。てか、絶対降る! 何それ残念過ぎんだけど!? こんな美味そうな身体前にしてやれねぇとか、どんな拷問だよ!?」
ユーリが頭を抱えて身悶える。
身をよじり、髪をかき乱す様は、もはや人格崩壊の危機なのかとさえ思うほどの錯乱ぶりで。
「はぁ……、残念。けどまぁ、噂のシロちゃんに会えたんだから、それでよしとすっか」
「あの……できれば士郎でお願いしたいんですが」
自分に対してちゃん付けなど、克己以来の暴挙だ。
「シロちゃんはシロちゃんでしょ?」
なんで? と実にナチュラルに問われ、あぁこれはダメなやつだとあきらめた。
世の中には言えばその言動を改めてくれる人種とそうでない人種が確実にいて、目の前の男は明らかに後者のくくりに属していた。
無駄なことに労力を割くほど、こちらも暇ではない。
今はとにかく一刻も早く龍之介の無事をこの目で確かめたかった。
いくら無事と聞いても、顔を見るまでは安心できなかった。
「龍之介は今どこに?」
「あー、愛しのダーリンはなぁ、トーナメント戦を順調に勝ち上がってるよ。優勝したら、やつのをフェラできる権利を与えられるとか、みんな燃えちゃうよなー」
オレも出たかったよーと嘆くユーリを前に、すーっと周囲の空気が薄くなった気がした。
あらかじめ聞かされてはいたとはいえ、そんな淫らな行為をトーナメントの戦利品として掲げるなど、どうかしている。
仮にそうすることが本当に必要だったのだとしても、恋人の立場の自分には怒る権利があるはずだ。
「……っ、今すぐあのバカのところに案内してください!」
絶対零度の視線を前に、ユーリがコクコクと素直にうなずいた。
「……あのエロ魔神が好き勝手しやがって……っ、ブッ殺す……っ」
低く押し殺すようにつぶやいた瞬間、カレンとユーリが互いに手を取り合って、ひっ、と喉の奥で悲鳴を上げた。
「マジメなのがキレると、怖ぇ〜」
「リューが上だと思ってたけど、案外逆!? オラオラなシロちゃんとか、超見てぇ!」
無駄口たたいてないで、サクサク案内する!」
「「はいっ!」」
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