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溶ける 2 (士郎side)
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「……っ」
喉元を吸われ、指先を当てがわれ、甘やかな痛みにふるえた。
覚えのある波動が受け入れる部分を中心に、全身を放射状に包み込む。
急速に高まる性感に、気持ちよさよりも遥かに苦しさが先に立つ。
「……っ」
「……士郎……」
いつだって聴き惚れずにはいられない毒のように甘い声が、愛しげに耳元で己の名を呼んだ。
熱を持ち、濡れて、拓かれてゆく。
奥を穿つ二本の指を左右に押し開いた龍之介が、目を細めて瞳をのぞき込んで来た。
「信じてカラダを預けろ。引き裂かれる痛みはほんの一瞬だ。……必ずよくしてやる」
ほとばしる欲望と深い憂いに濡れた黒曜石の瞳を、綺麗だと思った。
「……っ、わか……てる……」
最初はどうしたって痛い。
もとより並大抵の質量ではない。
痛みのフラッシュバックで閉じようとする身体を必死に押し留め、来いと強い瞳で訴えた。
フッと龍之介が笑う。
「……ったく、オマエには参る。いったい何度惚れ直させてくれンだか。きっとオレは永遠にオマエには勝てねェんだろーなァ」
おどけたように永遠を誓いながら、龍之介が降りてくる。
「く……っ、は……っ」
灼熱の楔に貫かれ、本気で呼吸が止まった。
次の瞬間、強烈な波動を感じ、一気に絶頂へと導かれた。
奥が大きく脈打ち、収縮して、溶けていく……。
気づけば己の放ったもので下腹部が濡れていた。
到達点としては低い衝動的な絶頂だったが、ここさえ超えてしまえば後はグズグズに溶けていくばかりだとわかっていた。
「……待たせたな」
濃密な闇をまとい人を欺く魔王のように、龍之介が笑う。
魅惑的で逆らうことのできない、ブラックホール並みの質量を持つ声と視線。
ドクンと心臓が跳ねて、自ら強く抱き寄せて奥に誘い、再びの激しい抽送を強請った。
「……さすがに前よりは馴染むのが早いな」
まるで、さすがは我が器だと言われたようで、心が跳ねる。
だが一方で、龍之介一人が余裕な状況に焦れてもいた。
「おまえも……っ」
早く理性など手放してしまえ。
自分以外の何もかもを捨て去り、堕ちて来い……。
意図的に奥を締めて、余裕を引き剥がそうとするが、何しろベースとなる経験値がまるで違う。
アッと言う間に主導権を握られ、揺さぶられ、二度目の絶頂が襲ってくる。
だが達する瞬間に前の根元を握られたせいで、容易に放つことができず、うめいた。
「ぅ…あ…っ」
荒れ狂う熱が身体中を吹き荒れ、のたうち回る。
永遠に続く過ぎた快感に苛まれ、時の感覚さえ歪み、不意に未だ想いをつなぐ前の一方的に責め苛まれた際の記憶が蘇る。
あまり人の好き嫌いは激しくない方だが、龍之介だけは別だった。
一目で敵だと見定めた。
惚れた幼馴染が誰より慕っていたせいもある。
だが何より男として負けていると、本能的に感じていたからだと、今ならば理解できた。
時折立ち上る凄みとしか言いようのない殺気や乾いてヒリつく空気感に、自分には届かない世界を見た。
恐れて反発しながらも、いたずらに伸ばされた手を自棄になってつかんだ瞬間から、すべては始まった。
「は……っ、……っ」
獣の顔をして自分を穿つ男が、今はもう心から愛しくてたまらない。
この男を生かすためなら、自分は何度朽ち果ててもかまわないとさえ思う。
狂っている。
それでもいい。
これほどまでの熱を……愛しさを。
この男以外から受け取ることなど、想像することすら難しい。
いつか死が二人を分かつとしても。
どちらが先に逝こうが、互いに笑って見送ると決めていた。
そのためにも、生き切って死ぬ。
ああ、いい人生だったと、言い切って見せる。
願わくばその日が1日でも遅く来るように……叶うのなら、実は寂しがり屋な龍之介を見送ってから逝けるように。
誰にともなく祈りながら、最奥で果てた龍之介の熱を……力を失って落ちてくる身体を。
深く抱きしめたのだった。
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