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足りない (龍之介side)
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「ぁ……っ」
二本の指を広げるようにしてグリッと回転させると、薬指を添えて再度深く挿入した。
「くぅ……っ、……っ」
もはや動かすたびに激しくイッている。
「も…やめ……っ」
「違ェだろ? ……どうして欲しい?」
く……っと唇を噛み締めた士郎が、涙目で睨みつけてくるのがたまらなかった。
「……っ、もう……、挿れ……ろ……っ」
「……何を?」
「……っ」
もはやとっくの昔に限界なのは自分も同じだったが、身体が裂けそうな痛みや限界寸前の欲望を押し殺し、必死に何でもない風を装って焦らした。
「……オレはこの通り瀕死の重症だからよ……、オマエがリードしてくンねェと、さすがにつれェわけだ……」
すうっと息を吸い込み、深く吐く音が耳を打つ。
「……本気で腹の傷が裂けても知らないからな……?」
二度にわたって注いだ気のせいか、焦らしすぎたせいか、見れば完全に目が据わっている。
前で交差して合わせる形の術衣を強引に左右に割り開かれたかと思うと、猛って濡れた雄を手に取られた。
そのまま士郎自身も潔く腹から下の衣服を脱ぎ捨てると、あくまで傷に触らないよう横向きにこちらの腰をまたいできた。
「……指を抜け」
コレはコレでイイんだけどなァ、と惜しみながらも苦笑の中で指を引き抜けば、熱を孕んだ清々しいほどに潔い瞳が見つめてきた。
「……っ」
「は……っ」
腰が沈み、呑み込まれていく。
士郎とする時はいつもこうだ。
抱いているのに抱かれているかのような気分になる。
しっとりと隙間なく熱く包み込まれ、吸いつくような締めつけと共に深い場所まで誘われ……。
どうしようもなく満たされ、どうしようもなくうずいて、乳を求める赤子のように必死にすがりつき、もっと……果てしなく一つになりたいと願わずにはいられない。
思わず本能のままに腰を動かすと、身体中が悲鳴を上げた。
あまりに痛いと人は叫ぶこともままならず、鋭敏な神経そのものが破裂し焼けただれるかのような衝撃の中、ただひたすらに呻き震えるのだと知ったのは、もうずいぶんと以前のことだった。
だが極度の痛みと共にある自分もそう悪くはないと思っている。
ギリギリを駆け抜けている時同様の生の実感を、否応なしに味わうことができるからだ。
「……っ、やはり止めた方が……」
襲い来る快感に全身を濡らしながら、士郎が気遣わしげに訴えてくる。
バカが、と笑った。
「……今さら引けるかよ」
動け、と視線でうながせば、ためらいがちに腰が揺れ始めた。
「……っ、は……っ」
もはや痛みと快感の境界線がわからなくなるほどの強烈な感覚に呑み込まれ、眼裏が焼けた。
明日世界が終わったってかまわない。
……今この男と抱き合えるのなら。
何の迷いもなくそう言い切れるほどの愛しさに胸を締めつけれ、自分は世界一幸せな男だと笑った。
ほんのわずかな隙間もなくピッタリと重なり合い、溶けていく。
「……龍……っ」
普段の硬質な表情は跡形もなく崩れ、自分を……自分だけを求めてくる。
腹の底がゾクリと震えた。
熱い衝動が一気に全身を駆け巡り、愛しい男に向かい流れていく。
「……っ、は…ァ……っ」
奥の奥に溢れるほど吐き出しても、まだ足りない。
永遠に満足することなどないのだろう。
何度離れても、必ずまた巡り会う。
いっそ永遠に飢えてオマエだけを追い求める獣でありたい……。
極度の痛みと発熱で朦朧としながらも、それを遥かに凌駕するほどの愛しさと快感に揺さぶられては達し、脱力してはまた火をつけられるのを繰り返し……。
最後には眠れ、とやさしく手の平で視界を覆われた。
まだ足りない……と訴えたくても、もはや指一本動かすことができないほどの深い疲労感に負け、未だ触れ合った肌から伝わる温もりだけを頼りに、深い静寂の支配する闇に堕ちていった。
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