アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
奇行 (士郎side)
-
「ファームという下部組織を経た後、最初に住居として与えられるのがこの4人部屋です。ちなみに、こちらはユーリの胸元からくすねてきました」
幹部のみに与えられた全館ほぼフリーパスに近いというご自慢のカードを胸元から取り出したマックスが、得意げにカードリーダーに通し、暗証番号を打ち込み、指紋認証まで済ませてしまった。
なぜあんたがユーリの暗証番号を知っているのだという疑問を解消する間もなく、ガチャリと内側からキーが開く音がする。
「お邪魔しますよ」
てっきり空き部屋か何かだと思っていたら、しっかり住人がいるようだ。
にも関わらず、前置き一つでズカズカと踏み込むマックスに呆気に取られながらも歩を進めれば、
「てめぇ、何勝手に入ってきてんだよ!?」
近代的なエアラインのそれのような機能的な二階建てベッド下段の、明らかに真っ最中だとわかる乱れた布の膨らみから顔を出した厳つい男が、額に青筋を立てながらこちらを睨みつけてきた。
「おやおや、まさかこんな真昼間から取り込み中とは存じませんで、大変失礼しました」
単にノックをすれば済む話だったのでは……と突っ込みたかったが、ベッド上の住人がマックスに枕を投げつける方が早かった。
「ナイスコントロール」
相手の怒りなどはどこ吹く風、むしろ大好物ですとばかりに嬉々として笑うマックスの不気味さに頬を引きつらせ、男の怒りも自然、尻すぼみになる。
「……くそっ、早いとこ出てけよ……っ」
「申し訳ありませんが、そういうわけにもいかなくて。一通り見学したら出て行きますから、しばらくは我慢してくださいね。あ、気になさらずに続けてくださってかまわないんですよ? 何ならお手伝いしましょうか?」
ニコニコにっこり。
こいつ、もうイヤだ……とワナワナ震え、涙目になる部屋の住人には、多大な同情を禁じ得じえなかった。
「もう充分見せてもらったので、すぐに失礼します」
と、自ら退避勧告を出してみたのだが、
「そんなこと言わずに、ちゃんとベッドのスプリングも試しておかないと。ほら、座ってごらんなさい」
そして真っ最中の二人を奥に押しやると、けして広くはないベッドに勢いよく腰掛けた。
「……っ!?」
予期せぬ振動に喘ぎうろたえ真っ紅になりながらも、必死にあられもない姿を布で隠そうとする二人と、まるで動じない笑顔のマックス。
「……っ」
そんな世にも空恐ろしい絵面のベッドに、自分も座れと……?
「……勘弁してくれ」
「チェリーボーイでもあるまいに、何をこの程度でうろたえているんです?」
「……っ」
「抱いて、抱かれたんでしょう? ……あのリューを」
途端に淫靡としか言いようのない妖しげな空気が立ち上り、マックスがチロリ……と己の唇を舐めた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
237 / 297