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言い訳 (士郎side)
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マックスは手術室に併設された医療ブースのドアの前までついてきたが、ユーリとアレクに断固入室を拒否された。
「おまえはリューの神経を逆なでする天才だ。医者として付添いは許可できない」
「そーゆーこと! 片付けて欲しい報告書を山のようにメールしといてやったから、そのキレッキレの頭使って、ちゃっちゃと片付けちゃってくれよな」
「……この、腐れビッチが」
「何か言った?」
「いーえ。今晩中にちゃっちゃと片付けて差し上げますよ。とはいえシローのことはあきらめませんから、覚悟しておいてくださいね?」
ニコニコにっこり、訳のわからない言葉を捨てゼリフにして、変人マックスは大人しく去っていった。
いったい何がしたいんだか……つくづく謎な男である。
途端にユーリが深いため息に暮れた。
「……シロちゃんさぁ、確かにマックスを足留めしろとは言ったけど、ここまでタラせとは言ってないっしょ」
「何言ってやがる。……テメェがよけいな荷物を押しつけたンだろーが。この、部下にもバカにされるダメ上司が」
「ひでぇ! そういうリューだってマックスのこと、未だに上手く追い払えねーくせに!」
「アイツのヘビみてェな執念深さをナメんなよ……? いってェどンだけ足蹴にしたと思ってる……」
よほど思い出したくないのか、龍之介のが半眼になる。
「こっちだって同じだよ! 尋問しようって時に致死量超えた自白剤取り出して、嬉々として人体実験しようとするようなやつ、手に負えるかよっ」
「はァ……、アイツの場合、どこまでが冗談でどこまでが本気だかわかンねェからなァ」
「そーなんだよ、もう何度もこいつやだっ、つき合い切れねーって思っても、有能なんだよ! めちゃくちゃ有能なわけ! だからついつい仕事任せるじゃん? けど、そのたびに見返り求められるわけよ……。もうシロちゃん差し出すしかなくね!?」
「事情はわかった……が、どうしようもねェ時でも、次からはオレに押しつけろ」
「えっ、いーの!?」
あんなに嫌がってたのに、と目を見開くユーリに、
「コイツに関わらせるよか百倍マシだ」
龍之介が苦々しげにつぶやいた。
「……アイツ、完全にロックオンしやがったしなァ」
「あー、それはオレも感じてた」
二人視線を見交わすと、はぁ……と深く吐息した。
「……ったく、面倒ごとばっか増やしやがって」
「いったい何の話だ?」
意味がわからず問えば、テメェがタラしやがった面倒なオトコの話だよ、と龍之介が恨みがましげに睨みつけてくる。
「つーか、待て……。その首ンとこの跡は何だ……?」
龍之介のまとう空気が一変した。
腕が伸びてきて、シャツの胸元を強引に開かれたかと思うと、黒曜石の瞳がカッと火を噴いた。
「……あのヤロー、人のモンに手ェ出しやがって……ブッ殺す!」
怒鳴るよりも遥かに空恐ろしい押し殺した声音に、ハッとした。
マックスに引き寄せられた際、首筋に感じたあの痛みは……。
「シロちゃん……、キスマつけられるとか、いくら何でも油断し過ぎじゃね?」
ユーリが額を抑え、お手上げだとばかりに空を仰ぐ。
「……っ、これは……っ」
「……言い訳はいらねェ」
後で身体にきいてやる……、とあたかも独占欲を塗り込めるかのように言われ、青くなった。
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