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慰め (士郎side)
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「身体の快感だけで言やァ、そりゃテメェで動いた方が遥かにイイけどよ。プライドの高ェオマエが傷だらけのオレのために色ンなモン押し殺して、上に乗ってくれた。……その事実にグッとくンだろーが」
「……っ」
命を取り合うかのように激しく抱き合い、熱く痺れて何も考えられなくなるほどの快感に押し流されるのもいいが、時にはこんな風にもどかしさの中で触れ合い、砂糖菓子のように甘く崩れ落ちるのも悪くはないと言われた気がした。
「……オマエとならよ、正直挿れてるだけで無条件にイイんだって」
誰と抱き合ってもこんな風にはならないと、龍之介が眩しげに己の濡れて艶めく黒髪をかき上げた。
「ヤれば、普通は冷める。戦場で昂ぶった熱だろーが、放っちまえば、それまでだ。……けど、オマエとヤるとやけに後を引く」
いつも先に潰れちまうオマエを組み敷きながら、独り過ごす夜は長いのだとのつぶやきは冗談めかされてはいたが、感動を伴い重く深く胸に響いた。
「……って、何言ってンだかな」
熱でいい加減おかしくなってるらしい、と肩をすくめ、こちらの肩に額を押しつけてきた。
冷え切った心に、くすぐったいようなかすかな温もりが宿り、次第に膨らんだそれはやがて抑えきれない愛しさとなって、ギュウギュウと胸を締めつけてきた。
「……バカが」
「……そりゃ、オマエだろ?」
オレに堕ちるなんざ、相当なバカだと呆れたようにつぶやかれ、笑ってしまった。
「……違いない」
「そこは真っ先に否定しろよ」
「できる訳ないだろ?」
「いや、ウソでもしろって」
「嘘でいいのか?」
「時と場合によるなァ」
「便利な答えだ」
「まったくだ」
「おまえは……はぁ……。もういいから新しい衛生服に着替えろ」
立ち上がり、棚に近づくと、中に入っていた真新しい布を投げてやる。
さすがは術後の回復を支援する部屋だけあって、換気は最大限に保たれていたが、さすがにシーツも替えないと何かの折に匂いそうで怖かった。
文句を垂れる龍之介を車椅子に一時退避させると、新しいシーツで手早くベッドメイクし直した。
「つーか、日に二度もシーツ替えるとか、わざわざ致してましたって言ってンのと同じだろ」
「……っ。おまえがバカみたいに汗をかいたことにするから、大丈夫だ」
「オレの発熱時の発汗量を、あのアレクが把握してねェとでも? ついでに言やァ、ココのリネン類は最上級のテクノロジーが駆使された便利なシロモノでよ、速乾吸収抗菌作用に優れてるから、軽く三日は交換不要なんだぜ?」
「……!?」
やっぱバカだなと笑われたが、覆水盆に返らず、もはやなす術なしとひとり頭を抱え、ため息に暮れたのだった。
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