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衝動 (士郎side)
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一転して激しい仕草でシャツを左右に引き裂かれ、悲鳴を噛み殺した。
「……っ」
「お遊びの時間は終わりだ。……残りの時間は全部オレだけのために使え」
まるで傲岸不遜な魔王のように高みから見下され、根っからの負けず嫌いに火がついた。
「……オレが欲しいなら素直にそう言ったらどうだ?」
「……ハッ、心底欲情したツラでエラそうに、何言ってやがる?」
下腹部の布を突き上げる熱を指摘され、カッと首筋が燃えたが、龍之介のそれとて同じ状態のはずで。
上掛けの上から握り込めば案の定、硬い昂ぶりに触れた。
それを握り込みながら、
「……おまえこそ、よく言う」
蔑むように鼻を鳴らして見せた。
しばし睨み合い、どちらからともなく噛みつくような口づけを交わした。
触れ合ってしまえばもはや激情に溺れ、すべてを奪い尽くすかのように熱く舌を絡めずにはいられない。
「……っ」
傷口の痛みに龍之介がうめいても、止めてやれなかった。
世界中から責められたってかまわない。
いっそ傷口が開いてしまえばここに残る口実ができるのに、とまで考えている己を嘲笑う。
激情に負けたブルーライト除けのメガネが弾け飛び、つけっぱなしのパソコンがベッドから転がり落ちても、気にかける余裕さえなく。
組み敷き、組み敷かれながら、互いの身体にまとわりつく衣服を残らず剥いでいく。
素肌が触れ合うと、どちらからともなく吐息がこぼれた。
肌が合うという言葉の真の意味を知る。
ようやくあるべき場所に帰って来られた実感に、ほんのひと時だが欲望を忘れ、深い感動の中で浸った。
もう二度と離れたくない。
細胞の一つ一つが意志を持ち、叫んででもいるかのようだ。
だが次第に耐えられなくなってくる。
ジワジワと込み上げる劣情はやがて沸点に達し、理性を溶かし始める。
懐かしさも悲哀もすべてを飲み込み、弾けた。
「……っ」
自ら龍之介を中に導こうとして、止められた。
焦るなと。
……喉の奥でため息のようにひっそりと、甘くなぶるように笑う。
それにさえ煽られる己の余裕のなさが……淫らさが。
消え入りたいほどの羞恥を誘うのに、もはや止められるものかと開き直る自分がいる。
次いつ抱き合えるかもわからない。
ならばとことん本能に従い堕ちてしまいたい。
この毒のように甘い男と。
地の果てどころか、宇宙の起源を記すのだろう大地のその奥深くまで。
龍之介という名の重力に引きずり込まれ、ドロドロに熱く溶け合えたら……。
わずかに体力の回復した龍之介が、傷に圧のかからない横位で、蕾に舌をはわせてきた。
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