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内通者(龍之介side)
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「オマエ、ジンが起きてたのに気づいてたな?」
ギクリと震え、ぽとりとウインナーを床に落としたハルトに、やっぱりなと確信した。
学園内のセキュリティー全般は、ハルトが全責任を負っていた。
特に火薬庫になりうる役員棟のセキュリティーには、万全を期していたはずだ。
その綿密かつ正確無比な包囲網を掻い潜れるヤツがいるとは思えない。
突破できたところで、必ず痕跡は残る。
ハルトが気づかないはずがないのだ。
「……ジン。アンタもどうやってハルを手懐けた?」
おっ、オマエからアンタに格上げか? とニヤつかれ、調子に乗るなとにらみつけた。
「ハルとはダイゴがトイレに消えて二人きりになった隙に、何度か話した。素直に理由言って、笑顔でお願いしたら、ためらいながらも言うこときいてくれたぜ? ホント感謝してんだ。なぁ、ハル」
信頼を込めた笑顔に、カアッとハルトの頬が染まる。
「あの邪魔なゴーグルメガネ、ようやく外したんだな。髪も少し切ったか? 前も言ったけど、その方がずっとかわいいぜ」
「あ……あり…がと……」
「どーいたしまして」
そして長年の親友みたく、笑い合う。
相変わらず人をその気にさせて動かすのは、お手の物か。
ハルトにしてみれば、ジンは自分が命を賭けてまで救い出した、育ての親だ。
何度か仲間内でジンの話をしたこともあった。
懐柔されたハルトを責めるのは、酷だろう。
それよりも、だ。
「ハルがセキュリティーの要だって、どうやって知った?」
「あんま、とーちゃん舐めんなよ?」
おまえの情報は、離れてからも逐一オレの元に届いてた、とジンが笑う。
その瞬間、脳裏を閃光が走った。
「……どこだ?」
「ん?」
「……マイクロチップ、どこに埋め込んだ……?」
「何言ってんだ。オレがおまえに、そんなことするはずねーだろーが」
その取ってつけたような笑顔には、覚えがあった。
ビンゴだと、勢いよく立ち上がる。
「おい、ユーリ! こンだけの規模の組織なら、当然CTスキャンくれェ、あンだろ!?」
「いやぁ……」
ユーリの目が斜め上を泳ぐ。
あるけどジンの手前、あるとも言えない……そんな表情だった。
「ルイ、今すぐ全身にスキャンかけンぞ! 頭の先から足の先まで、細かくチェックだ!」
今までも大怪我を負い、CTスキャンを受けたことはあったが、患部だけを調べていたせいか、見事に見過ごされていた。
ジンのことだ、相当わかりづらい場所に巧みに隠したに違いない。
自分一人よりは、医学知識の豊富なルイを巻き込む方が、遥かに勝算は高かった。
「……飯の最中だ。後でいいだろ」
ジンに居場所を知られたところで、何の害があるんだと言いたげなルイに、害なんざありまくりだと、拳を握りしめる。
この男は人をおちょくるのが大好きなのだ。
士郎と互いに忙しい合間をぬい、時間を惜しむように身体を重ねようとした、まさにその瞬間に踏み込まれたら。
いったいどこの誰が責任を取ってくれるんだと、怒りで気が遠くなりかけた。
「……士郎のヤツと離れて、オレは早くも気が立ってる。おまけにひどく欲求不満だ」
地を這うような声音に、ギクリとルイの表情が強張った。
「今夜は三人で楽しむか。……なァ?」
濡れた声が一気に場を支配した。
見れば、周りにいる兵士達が、軒並み前屈みに股間の辺りを押さえている。
この声も時には役に立つと、薄く笑った。
もう一押し、しておくか。
「ハル、オマエも、いいよな……?」
シャツからのぞくハルトの首筋に、するりと指先を差し込み、鎖骨の辺りをそろりと撫でた。
「……ん…っ」
ハルトの瞳も声も、甘く儚く溶けていく。
期待通り、ガタンと大きな音がして、視界の端でルイが乱暴に席を立つのが見えた。
「詳しく診るなら、空腹時じゃなきゃ無理だ。この後は何も食わずに寝て、朝一で声をかけろ!」
言うなり、強引にハルトの手を引いて、腕の中に囲い込む。
「……りょーかい」
してやったりとばかりにジンを見れば、おまえもなかなかやるじゃねーかと笑われた。
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