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傷(龍之介side)
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「おいおい、あんま怖ぇこと、してくれんなよ。見ろ、すっげぇ鳥肌立ったし」
「……なァ、オレと遊ばねェ?」
「おまえが言うと、別の意味に聞こえんだけど?」
「そっちがよけりゃ、相手してやってもいいンだぜ?」
「はぁ……。マジで止めろって」
ユーリが恨めしげなため息をつきながら、振り返る。
「おまえの声聞いてっと、あちこち疼いて、やっべぇわ。……おあっ!?」
「……確かに、勃ってンな」
背後から抱え込み、グッと下肢の膨らみを握ってやれば、ビクリと腕の中の身体が跳ねた。
「……案外、淫乱なクチか?」
「その声で言葉責めとか、マジ勘弁っ。シャレになんねーから!」
甘えかかるように垂れた目尻から、振り向きざまに流される視線の艶っぽさに、目を瞠る。
少々、年を食ってはいるが、熟れた徒花の色香は凶悪だ。
抱きついた腕に感じる胸の厚みや、鍛え上げられて割れた腹筋、キュッと上がったヒップラインも魅力的で、なかなかにソソる。
「アンタも当然ジンとは寝てンだよな?」
「あ〜、幼馴染で熱のたまる思春期を同時に駆け抜けた仲だからなぁ。回数数えんのもバカらしくなるほどヤッてるけど、それが何だよ?」
さすがに育ての親であるジンを抱きたいとは思わなかったが、ジンの抱いた相手を狂わせ、ジンよりイイと啼かせるのは、さぞや気分がいいだろう。
かといって、この男が自分に堕ちてくるとは思えない。
閉塞した組織において安心して楽しめる相手の確保は貴重だ。
「……ンな、嫌がンな。まァ、今は許してやるよ。そのかわり、戦闘後の熱でどうしようもなく昂ぶった時は、責任持って相手してくれよ? リーダーを支えンのはサブの役割なんだからよ」
「んだよっ、やんねーのかよっ!? すっかりその気になっちまったじゃねーかっ」
「……そりゃ、悪かったなァ」
苦笑した。
「はぁ……、キツ」
悩ましげな吐息をついて、背後から抱きしめた身体が、もたれかかってくる。
弾力のある尻の肉の狭間に包み込まれ、布越しの刺激された。
これは絶対にワザとだ。
もはや、どちらが誘い誘われ、追い詰め追い詰められているのか、わからなくなる。
以前、ジンから聞いた覚えがあった。
組織に拾われる前の子供時分に、幼馴染とともに劣悪な環境下で客を取らされていたことがあったと。
仕込まれた身体がどうしようもなく疼くのだと思えば、憐れな気もした。
「……アンタ、特定の相手はいねェのかよ?」
「……あ〜、ねーよ」
わずかな間で、ピンときた。
「……アンタもジンに惚れて、人生棒に振ったクチか」
「……っ、勝手に言っとけ。つーかオレは、ジンとキリの二人に惚れてんだ! お互い好きなくせに、変な意地張りやがって。結局、一度も抱き合わずに逝っちまってさ……」
オレがつないでやるしかねーだろ? とユーリが壁を蹴りつけながら、苛立ちとも悲しみともつかない想いを吐き出した。
人間、大人になると、感情のままには泣けなくなる。
だが、見えない胸の内で慟哭しているのに気づかないほど、こちらも子供ではなかった。
短期間に、いろいろなことがあり過ぎた。
幼馴染であり想い人でもあるキリヒトを亡くし、育ての親の長老も失った。
ジンは意識不明に陥り、組織では次期リーダーと運営を巡り目に見えた対立が起きている。
組織が崩壊しないよう、陰に日向に立ち回るユーリに、すべての負担が集約しているように見えた。
普段なら間違いなく、おちゃらけた態度で流したはずだ。
不意にさらされた深すぎる傷を、あえてこれ以上えぐろうとは思わなかった。
「……アンタはよくやってると思うぜ?」
背後から抱きしめる腕に、ほんのわずかばかりのやさしさを込めた。
「……ガキが、生意気言ってんじゃねぇ。つーか、やべぇ! あいつら、まだいんだろーな!?」
人を待たせているのだと、ユーリが慌てて腕の中から抜け出すと、目の前のドアのセキュリティーロックを解いた。
シュッ、と空気音がして、ドアが左右に割れた。
広く簡素な部屋に、あらかた自分と同い年くらいに見える5人の男が、思い思いの体でくつろいでいた。
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