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駆け引き(龍之介side)
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リーダーにあてがわれた個室は、セキュリティーエリアの一番奥深い場所にある。
普段は帰るのがどうにも面倒で、ハルトやマコト、ルイの部屋を渡り歩くことも多かったが、今夜はアキラを引き連れて戻った。
「……特に豪華な部屋ってわけでもねェだろ」
ベッドにクローゼット、小さめのソファにシャワールーム。
広さも一般メンバーの個室と大差なく、30平米かそこらの部屋に無理やりアップライトのピアノを入れたせいで、手狭感さえあった。
ベッドに腰かけると、隙なく立ったままのアキラを眺めた。
臆してはいないが、敵のテリトリーに連れて来られた野生の獣さながらに、いざという時の退路を本能的に探っているように見えた。
「……殺し合おうってわけでもなし、ンな恐ェ面すンな。それとも、緊張してンのかよ?」
嬲るような甘い声の響きに、かすかにだがアキラの息が乱れたように見えた。
この声が届くのなら、やりようはいくらでもある。
「……どーした? もっと近くに来ねェと、何もできねェだろ」
覚悟を決めたように歩を進めるアキラが、ようやく手を伸ばせば届く位置まで近づいてきた。
「……普段はどうやって誘うンだ? まさか、相手に任せっきりってこたねェよな」
「……まさか」
黒曜石の瞳が好戦的に揺らめき、理想的なカーブを描く唇が笑う。
大輪のバラが一斉に咲き誇るかのような鮮やかな笑顔に、一瞬、らしくもなく見惚れた。
なまじ普段まったくといっていいほど笑わない相手だけに、より一層、心の奥深くに突き刺さる。
こんな笑顔を見せるのは、もしかしたら自分だけなのではないか……。
そんな妄想にも似た淡い期待と自惚れを抱いた瞬間にはすでに、敵の術中深くにはまっている。
してやられた感が色濃く香り、
「……やってくれンじゃねェか」
笑いながら低く、つぶやいた。
「けど……足んねェな」
鮮やかに笑って見せたくらいで堕ちると思ってもらっては困る。
腕を引き寄せて、倒れこんできた身体を抱きしめた。
耳元で、
「……もっとだ……」
低く甘く、ささやいた。
「……なァ、どっちが先に終わるか、賭けようぜ」
笑みを刻む綺麗な唇を、親指でソロリと撫でれば、すかさず口内に含まれ、吸いながら爪の間をチロリと舌先で舐められた。
「……っ」
「……ルールは?」
「……ねェよ」
このヤロ、と笑いながら、指先を乱暴に引き抜いた。
「無条件でやって、勝負になるとでも?」
「……さァな。やってみなきゃ、わかンねェだろ」
「そうか。ギリギリの場所に追い込まれて無様に散りたければ、好きにすればいい」
「……オレの声に濡れながら、ヒクつく身体を持て余して、プライドと欲の狭間でのたうち回るオマエを見るのは、さぞかし楽しいだろうよ」
両手首をつかむと、強引にベッドの上に組み敷いた。
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