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迷い(アキラside)
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「あっ、アキラお帰りーっ」
チームに与えられた大部屋に戻ると、さっそくリトが駆け寄ってきた。
胸の辺りにあるオレンジの髪をよしよしと撫でてやると、グリグリと胸に頭を押しつけてくる。
その後ろに、カレンとハヤトが仁王立ちしていた。
その瞳には、何かされたなら言え、仇は打ってやると、炎にも似た怒りと闘志がみなぎっている。
「腹一杯食ったにしちゃ、浮かねぇ顔してんじゃねーか」
一人ドルフだけがソファに寝転がったまま、目隠しがわりに顔に広げた雑誌を持ち上げた。
「足りねーなら、オレとヤるか?」
「なっ、今日はオレの番のはずだろ!?」
ハヤトが吠えた。
「そーだっけ? 忘れちまったなぁ」
つっかかるハヤトに雑誌を投げつけ、ドルフがほくそ笑む。
ドルフは根っからの捕食者だ。
嫌がるほどSっ気に火をつけると、いい加減悟ればいいものを、つっかかるから繰り返しやられる羽目になる。
このまま放っておくとハヤトが爆発した挙句に、ケンカっ早いカレンまで巻き込んでの大騒動になる。
極度の面倒くさがりのくせに、人を嬲ることには労を惜しまない厄介なドルフの性格を矯正するのは、遠の昔にあきらめたていた。
「ハヤト、部屋にくるか、そのままドルフと遊ぶか、今ここで決めろ」
ハヤトが即座に駆け寄ってきて、
「行く!!」
逃がさないと言わんばかりに、腕を絡めてくる。
自分しか見ていない、真っ直ぐで綺麗な瞳から目をそらした。
「シャワーは?」
「もうしたっ」
「なら、ベッドで待て」
「ん」
龍之介の匂いをつけたままハヤトを抱く気にはなれなくて、頭から熱いシャワーを浴びた。
不意に、龍之介の声が蘇る。
甘えろ……?
なぜ、そんなことを言う?
自分の何かが、あの男の同情を誘ったのだろうか。
同情されるくらいなら、憎しみをぶつけられる方が遥かにマシなのに。
勘違いする相手には、制裁を。
虜にして利用し、使い捨ててきた。
なのに、負けた。
なす術もなくイかされた自分に対して、あの男がイッたのは、明らかに同情からだった。
それがわからないほど愚かではない。
屈辱に燃えた。
絡めた舌は熱く、なだめるようにやさしく、なぜだか無性に泣きたくなった。
自分が壊れたら。
そんなことは、考えたこともなかった。
駆けた先に光があると信じなければ、息をすることさえ苦しくて。
すべてに目をつむり、見ぬフリをした。
そう、できていたはずなのに。
あの男は危険だ。
あの声を聞いていると、落ち着かない気分になる。
濃密な闇の底に引きずり込まれるような、毒のように甘い声。
あれは媚薬にも等しい。
「……アキラ?」
ハヤトの声に、現実に引き戻された。
湯けむりの向こうに、成長期特有の中性的で華奢な身体が立っていた。
不安そうな瞳。
「すぐ上がる」
シャワーのコックをひねって、湯を止めた。
バスタオルで全身を拭い、裸のままハヤトをベッドに導いた。
蒸気した頬。
潤んだ黒曜石の瞳。
脱がすのを手伝ってやると、恥ずかしがりながらも素直に従った。
未だ少年と言っていい年齢のハヤトの肌は、瑞々しい張りがある。
ベッドに組み敷いて、触れるか触れないかの圧で撫でてやると、ビクビクと震えて、甘く吐息した。
「アキラ……すき……」
全身全霊で、訴えてくる。
昔から変わらない。
真っ直ぐで困っている仲間を放っておけない、やさしい子供だ。
せっかく娼館から救い上げられたというのに、結局は同じ地獄を彷徨っている。
自分のために。
自分なんかのために。
せめて自分に与えられるものはすべて、与えてやりたかった。
「あ……っ」
腰の下に枕を入れて、綺麗に筋肉のついた、しなやかな脚を抱え上げた。
「…っ…ぅあ…ん…それ…やぁ…っ」
ヌルリと、舌で蕾を舐め、つつき、ヒダに潤いを塗り込めていく。
ヒクつき、解れた隙に指を挿し入れて、感じる場所をやさしく中から擦ってやる。
「あ…っ…あ…っ」
触れられるまでもなく勃ち上がった雄が目の前で震え、蜜をこぼした。
「アキラ…や…っ、イッちゃ…っ」
ハヤトは独りでイかされるのを、ひどく嫌う。
折よく中も充分に解れてきた。
昂ぶった熱を押し当てて、拓く。
「あ…はぁ…っ」
ビュルッと白濁を吐き出して、ハヤトがイッた。
小刻みに震え、うねる中に肉の快感は感じても、膜を隔てたように、ひどく遠い。
いつものことだ。
それでも身体は意思の力で昂ぶるし、イクこともできる。
だからこそ、衝撃だった。
龍之介に与えられた快感は、もっとずっと直接的で、鮮烈だった。
身体の奥深くに眠っている欲望を、無理やり揺り起こし、つかみ、引きずり出されるかのような。
抱かれたら自分がどうなってしまうかわからなくて、とっさに口淫に逃げた。
「アキ…ラ……っ」
再び達しようと震える身体を揺さぶり、追い上げた。
「あっ…あ…っ…ク…っ、イク…っ」
「……っ…」
欲しがるまま、奥に放つ。
弛緩する細い身体を抱きしめながら、目蓋の裏に浮かぶ龍之介の達する瞬間の表情を必死に打ち消そうと目を閉じた。
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