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案内(士郎side)
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煌牙とガード三人のために、急きょ主とバトラー用の部屋を二組用意して、間の壁をぶち抜いて使ってもらうことにした。
生徒会役員立ち会いのもと、ガード役の男が部屋の隅々までを確認し、とりあえずのOKが出た。
「主用の部屋とバトラー用の部屋の壁は薄い。使えばわかると思うが、防犯上、小声以外の会話ならギリギリ届くように設計されている」
「……全部筒抜けかよ」
煌牙が皮肉気に笑う。
「ご丁寧なこった」
何と冷たく笑う男なのだろうか。
部屋の空気が一気に5度ほど下がった気がした。
呑まれないよう、自分を律しながら、努めて冷静に振る舞った。
「主側には気圧で音を遮断できるシステムがある。最低限のプライベートは保てるようにしてあるが、使用は自己責任で頼む」
煌牙がドサッ、とソファに身を投げ出した。
「周りはムサい男ばっかだ。こんな監獄で何しろって? ……まぁ、少しはマシなのもいるみてぇだな」
煌牙が身を起こして、翡翠を見た。
絶対零度の瞳に、翡翠がビクリと凍りつく。
「……おまえ、ケツ貸せよ」
「な……っ」
ジェイが目を見開いて、慌てて翡翠を背後に隠す。
「冗談じゃねーぞっ、みどりはオレんだ、何かしやがったら、ブッ殺す!」
瞬間、煌牙が近くにあったリモコンを、ジェイの眉間目がけて投げつけた。
「うぁ……っ」
とっさに翡翠をかばって目を閉じたジェイを守ったのは、ガードの一人であるファーストと名乗る男だった。
あらかじめ、こうなることを察知していたのだろう。
リモコンを見事な手刀で、叩き落とす。
リモコンの蓋や電池が方々に転がり、室内の凍りついた空気を震わせた。
「……てめぇ、誰がかばえっつった?」
飢えた野生の虎のようにギラつく瞳を向ける煌牙に、ファーストがため息をつく。
「坊、頭はまずいでしょう。当たりどころが悪けりゃ、万が一ってこともある。せめて胴体を狙ってもらえませんか。それなら手出ししませんから」
今度は本当に監獄行きですよ、とファーストが電池や飛び散ったリモコンを元の姿に整えながらつぶやく。
外の世界で、いったい何をして来たんだか。
想像したくもなかったが、ここで過ごす以上は最低限のルールは守ってもらわなければ困る。
「ここでどう過ごそうが勝手だが、強姦や度の過ぎた暴力は退学の対象になる」
「……合意なら?」
熱のない瞳は、誰かを抱く時でも凍てついたままなのだろうか?
くだらない想像を打ち切って、告げた。
「そこまで関知するつもりはない。自由にしてくれ」
誘えば乗る者もいるだろう。
見てくれは、けして悪くない。
エッジが効き過ぎて、迫力ばかりが全面に押し出されてはいるが、よくよく見れば、かなり整った顔立ちをしていた。
180を超える長身の身体は痩せすぎな気もしたが、危険を媚薬のように感じる輩には、たまらない魅力に映るだろう。
元より、清く正しい生活を送れなどと言うつもりはない。
「最低限のルールさえ守ってもらえるのなら、快適に過ごせるよう、こちらも協力は惜しまない」
女を呼べと、煌牙がファーストに言うのを聞いて、ため息をつく。
「残念ながら、部外者の立ち入りは厳禁だ。合意のもと、敷地内でどうにか処理してくれると助かるんだが」
「これのどこが監獄と違うって?」
ドライアイスさながらに、煌牙の苛立ちが膨れ上がり、コポコポと音を立てながら噴き出すのが見えるようだ。
「坊、とりあえずは男で我慢してください」
「……ざけんな」
「目ぇつむってりゃ、男も女もさして変わりゃしないでしょう」
「硬ぇ、むせぇ、声で萎える」
「サードはそれ用に仕込まれてます。ヤッたヤツらはみんな、病みつきだとか。一度試してみたらどうです?」
やや小柄で細身だが、意志の強そうな目をした綺麗な少年が、煌牙の足元に跪いた。
「坊、失礼します。口なら男も女も変わりませんから」
そうして、あまりにも躊躇なくジッパーを下げるものだから、自分をはじめとする生徒会役員の面々は唖然としながらも、その場を後にするタイミングを逸してしまった。
取り出された黒光りするものは巨大で、サードと呼ばれた小柄な少年の唇では、膨らんだ先端を口内に収めるだけで、いっぱいいっぱいだ。
グッと容赦なく喉奥に挿入される。
サードの顔が苦しさで真っ赤に染まっていく。
煌牙が不意に、少年の首を絞めた。
不随意筋の痙攣。
「……悪かねぇな」
「よせ、死ぬぞっ」
「……だから?」
冷たく煌牙が笑う。
これ以上このままにはできないと、慌てて止めに入り、首に回った手を外させた。
「邪魔すんじゃねぇよ。それともデバガメが趣味なのか?」
「 ……何とでも言え」
筋違いの嘲りを受けるのは本意ではなかったが、今はそれ以上にサードと呼ばれた少年の身が心配だった。
だが、サードは己の身に起こるすべてをまるで意に返さぬ無表情で、与えられた役割を果たすことだけに専念していた。
自ら進んでしている行為とはいえ、これ以上の暴力が行われるようであれば止めに入らないわけにはいかないと見守っていると、
「……くっ、……ふぅ」
長い時間をかけてようやく張り詰めた熱が短い吐息とともに弾けたかと思うと、束の間震え、ゆっくりと弛緩した。
煌牙はわずかに勢いの衰えた雄を無感動に引き抜くと、床に崩れて咳き込むサードの身体を道端の石ころのように蹴り飛ばした。
「……連れてけ。目障りだ」
おまえらも出てけとあごで促され、ファーストと視線を交わし合い、ため息の中でその場を後にしたのだった。
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