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昂りと落下(龍之介side)
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「…く…っ、……あンま、揺らすな……。入っちまうだろーが」
「……う…ぁ、その声、やべぇ……」
溶けちまうと、ユーリがうっとりと、しがみついてくる。
「なぁ、まだ我慢……すんの…?」
「……はぁ。オッサンが甘えた声、出してンじゃねェよ……」
「だって、気持ちくね……?」
中に誘い込もうと、腰がくねるように動く。
「……っ」
しっかり筋肉はついているくせに、猫のようにしなやかな身体だ。
年齢不詳の甘えたな上目遣いも、すべらかな肌も、美味そうに潤った唇も。
何もかもが男を煽り立てる。
片手で頭を抱え、天を仰いで、負けを認めた。
だが、単にやられっ放しは性に合わない。
突き上げる衝動と戦いながら、不意に、敵が己の声に過剰反応していたことを思い出す。
「……ユーリ」
試しに、耳元で低くささやいてやれば、面白いくらい大きく身体が揺れた。
「……ぁ、ん……っ」
「……そんなにオレと、ヤりてェか」
「あ、それ、ヤバ……」
フルっと身体を震わせたユーリが、
「スイッチ入る……。なぁ、もっと、くれよ……」
濡れた声を求めて、猫のように身体をすり寄せてきながら、再度喉の奥深くに、咥え込まれた。
「……ンと、しゃーねェなァ。一人で勝手にイッたら、お仕置きだ。そーだな、コイツの根元、縛ってやろうか」
嬲るように笑って、ユーリの濡れた下肢を、膝で攻め立てた。
「んぁ…っ。ふ…やら…っ」
「……っ、咥えながら、しゃべンな……」
「なん…れ……?」
クリクリと先端の穴を集中して舐められると、グッと張り詰めるのがわかる。
「……なんつー舌遣いしてンだよ。ったく、ナカに欲しいンじゃねェのかよ……」
「ほひ……っ」
「なら、かわいく、おねだりしてみ?」
「……ん」
待ちきれないと言いたげに、脚に絡まったままのバトルスーツの下を脱ぎ落とすと、張りのある尻を露出させ、自ら蕾を割り開いて見せる。
たっぷりと蜜を絡めたこちらの雄を解放すると、いたずらっぽく笑い、視線を重ねながら、中に指を導いてくる。
「……んっ、あ……っ」
あらかじめローションを仕込んでいたのか、探った中は充分に溶けていた。
「……準備万端じゃねェか」
「ん……、めんどーがなくて、いいだろ?」
ユーリがおまえも楽しめと、ニヤリと笑う。
「乗ってやってもいいけどよ。……ガキだと思って、あンまナメた真似すっと、痛い目見るぜ?」
強引に身体の上下を入れ替えると、抵抗する間も与えず、一気に最奥を穿った。
「あ……っ」
最初はあえて強引にこじ開け、次第に痛みの中から快感を引き出してやるつもりだったが、年の功か天性の才か、ユーリは微妙に受け入れる角度を変えると、性急さもろとも快感に変えてしまった。
奥を突いた瞬間、中がキュッとキツく締まり、絶え入るように小刻みに長く震え始めた。
「……クソッ、オマエ、突くたびに、イッてンだろ……?」
呆れて問えば、
「あ……っ、ん…っ、あ、イッてるから…っ、もっと……めちゃくちゃ……してくれ…よ…っ」
どうしようもなく溶けた表情の奥に、むずがる子供の必死さがのぞく。
セックスの道具としてしか必要とされなかった、子供時代の名残りなのか。
平気だと笑う、おちゃらけた仕草の向こうで、好きにしていいから嫌いにならないでと泣き叫ぶ、幼い姿がチラついた。
痛みに触れてしまえば、突き放せない自分を知っていた。
心についた傷は舐め合いながらでも、超えていくしかない。
焦らさず、いいところを突いてやれば、活きのいい魚のようにビクビクと甘やかに跳ねた。
感度のいい、後を引く身体だ。
年齢にそぐわない瑞々しさと艶があり、娼婦の妖艶さと無垢な愛らしさが同居している。
「ジジイに愛らしさとか……ねェわ」
自らにつっこみを入れながら、不意に興味をかられて、聞いてみた。
「……ジンとヤるのと、どっちがイイ?」
ユーリがトロンと溶けた瞳で微笑んだ。
「嫉妬してくれんの? ……かわいーとこ、あるじゃん」
「バカが。……純粋な興味だ」
ユーリが止まったままの腰の動きを強請るように内壁を収縮させながら、言った。
「ジンとはなぁ、まんまキリヒトに返してやるつもりで抱かれてたから、楽しむっていうのとはちょい、違ったかもしんねぇ」
「……オマエはそれでよかったのかよ?」
「いいも悪いも、オレがそうしたくてしてただけだし」
そもそも、なぜキリヒトはジンに手を出さなかったのか?
あの男なら来るもの拒まずに寝ただろうに。
「何でって思うよな。オレもはじめの頃はすげぇ焚きつけたし。けど、見てるだけでいいんだってさ。……自分には眩しすぎて手ぇ出せねーとか、訳わかんねーし」
わずかに震えた声が、今やどうすることもできないやり切れなさを孕んで、切なく空気を震わせた。
「まぁ、あの二人がくっついちまったら、オレにおこぼれが降ってくることもなかったわけだから、ラッキーってなもんなんだけどさ……」
不意に遠い記憶が蘇ってきた。
『仮に心底惚れたヤツがいて、ソイツからも同じ気持ちを返してもらったとしてだ。それで同じくれぇ大事なヤツが傷つくなら、そんなん全部台無しだよな』
幼い自分にはよくわからなくて、そんなものかと思って聞いていたが。
あれはジンとキリヒト、そしてユーリの話だったのではないだろうか。
「……ンだよ、ちゃんと大事にされてンじゃねーか」
頭を小突いてやると、痛いと抗議の声が上がる。
みな、お人好しのバカばっかりだ。
今は亡きキリヒトの胸の内を思い、壊れたキリヒトを手にかけたジンの胸の内を思う。
正しい正しくないではなく、選び取り、信じて最後まで駆け抜けた。
自分ならばけして選び取れなかったろう茨の道を走り切った二人に、敗北感と敬意を同時に覚えた。
「なぁ……、もういいから、続きやんねぇ?」
我慢の限界だとばかりに脚を絡められ、腰を使われ、ため息をつく。
あとはもう欲望のおもむくままに、しなやかな身体に熱をそそぎ続けた。
やがて、う〜ん、と腕の中で伸び上がったユーリがやけにすっきりした顔で、タオルを放ってきた。
「さっすが、体力あんなぁ。ブッ通しで2時間とか、腰やられるかと思ったわ」
「……テメェが離さねェのが悪ィんだろ」
「チンポ食ったら、まず締める。搾り取れるだけ、搾り取る。これ基本だろ?」
「……なんのだよ? ったく、少し寝るから、話しかけンな」
「ヤり捨てかよ。冷てぇの」
言うなり助手席のメンバー相手に絡み始めたユーリを横目に、目を閉じた。
抑えきれない昂りが静まると、冷静な思考が戻ってくる。
ミッションは成功したのに、どこかすっきりしないのは、向かう先が見えないせいだ。
今までは、ただ戦いのスリルに心を躍らせ楽しんでいれば、それでよかった。
その果てにジンとの再会があると、理屈ではなしに信じられた。
だが、組織のトップを張るともなれば、組織の色や方向性を自ら決めて打ち出し、周りを率いていかなければならない。
面倒なこと、やりたくないことからは、極力逃げて生きてきたが。
やりたいことだけやって生きてこられたのは、周りがそれを許してくれていたお陰なのだと、今さらながらに気づく。
組織を運営するには、金も少なからず必要だ。
ユーリに聞く限り、当面困ることはなさそうだが、運営資金の実に8割を稼ぎ出していたというキリヒトは、もういない。
新たな資金源を確保しなければ、いずれは立ち行かなくなるだろう。
組織に新しい風を吹き込めと、簡単に言ってくれるが、ならテメェがやってみろとジンの胸ぐらをつかんで、どつき回したい気分に襲われた。
士郎がこっちに移ってくるまで、あと二年弱。
途方もなく長いようで、何かを成し遂げるには、短すぎる。
移ってきた士郎に、こんなものかとガッカリされるようでは、お笑い草だ。
共に走りたいと、迷わず飛び込んでくるような魅力ある組織を創り上げたい。
考えて、苦笑した。
組織のリーダーだの何だのと、大層なことを言ったところで、結局はすべてを自分中心に考えるような、独善的な人間なのだ。
「……完全に人選、間違ってンだろ」
「何が違うって?」
答えず、窓の外の月明かりを眺めた。
士郎も今頃、同じように悩んでいるのだろうか。
無性に会いたくてため息をつくと、青春してんなぁ、と笑われ、苛立ちの中で白濁だらけのタオルをユーリの顔めがけて投げつけたのだだった。
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