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添い寝(士郎side)
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煌牙はグラフや細かい数値で溢れた画面と向き合いながら、長時間キーボードを打ち込んでいた。
「株か?」
のぞき込むと、邪魔だと、ど突かれた。
しばらくは好きにさせていたが、時計の針が11時を指すのを確認して、ノートパソコンの蓋に手をかけた。
「消灯の時間だ。電源を落として、ベッドに入るぞ」
「ざけんな、今作業中……あっ」
強引に、強制終了させると、煌牙の瞳が火を噴いた。
「てっめぇ、ブッ殺す……!!」
ドスのきいたハスキーボイスはなかなかの迫力だが、いちいちワガママに取り合っていたのでは切りがない。
「約束は約束だ。破るなら、これは没収だな」
「時間がねぇんだよ……っ」
血を吐くような言葉には胸を突くものがあったが、ここで無理はさせられない思いが先に立つ。
「睡眠時間はきちんと確保しろと、執刀医から言われてる」
「……くそっ」
ギリッ、と歯が擦れ合う音がした。
ふー、ふー、獣が息を吐く音が空気を震わせたが、チッと舌打ちがしたかと思うと、あきらめた煌牙が大人しく布団に潜り込んだ。
ゆるゆると長く吐き出される吐息に、疲れが透けて見えた。
株の操作に何の意図があるのか、煌牙は聞いても答えない。
力になってやりたくて伸ばした手を振り払われるのは、ひどくこたえた。
電気を消して、隣に身体を滑り込ませると、ビクリと触れ合った身体が震えた。
緊張に、身を固くしているのがわかる。
セミダブルのベッドに、体格のよい男が二人。
普通に考えて、狭すぎた。
煌牙は壁際ギリギリに陣取り、なるべく距離を置くように努めているようだったが、やがて狭さに耐えかねたように、振り返った。
「……もっと、端に詰めやがれ」
苛立たし気にこちらを蹴りつけながら、しきりに距離を取ろうとする。
その足が、たまたま股間に入り、うっ、と息が詰まった。
「……うぉっ、キメェもん、触らせんじゃねぇぞ!」
煌牙が足を布団に擦りつけながら、わめいた。
痛みをこらえて、ため息をつく。
「……触ったなら、わかるはずだ。そういう意味で、おまえには何の興味もないと」
「……はっ、わかるかよ。単に、インポなだけじゃねぇの? まぁ、ホモならインボだって問題ねぇか。掘られてアンアン喘いでりゃいいんだろーからな」
耐えろ、まともに取るなと自分に言い聞かせたが、
「……簡単に言うな」
気づくと、言い返していた。
快感を得られればいいなどと、そんな安易な気持ちで抱かれたことなど一度もない。
魂ごと食らい尽くそうとするその熱量を、受け止められるものなら受け止めてみろと、叫びたかった。
男が男に抱かれるのだ、本能やプライドは、どうしたって、疼く。
それをねじ伏せて余りある想いを笑う権利は、おまえにはないだろうと、睨みつけた。
「……何、キレてんだよ」
「おまえがあまりに失礼なことを言うからだ」
この際、多少のお仕置きは必要だと、隙をついて強引にのしかかり、背後から抱きしめるようにして、暴れる細い身体を抱きしめた。
そうして触れた手足は、驚くほどに冷たかった。
体重はかけないように注意しながら、肌を密着させ、首筋に性的な色のない口づけを落とす。
昔、母がしてくれた、おやすみのキスだ。
「……ざけんな…っ」
あまりのことに動揺したのか、呆然とされるがままになっていた煌牙が、ハッとしたように暴れ出す。
しばらくは肘や足での攻撃が山のように降ってきたが、やがては体力が尽きたのか、少しずつ大人しくなっていった。
ようやく、うつらうつらし始めた頃、不意にベッドサイドに置いたスマートフォンが大きな音を立てて震え始めた。
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