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雑念(煌牙side)
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外がやけに騒がしい。
いかんせん、話の内容までは伝わってこないせいで、よけいに気になって仕方がない。
昨夜の電話の男が来ているのだろうか?
何事にも無感動に生きてきた自覚があった。
何かに心を動かされることなど、ついぞないと思っていたのに、あの声は……。
脳内を甘く妖しく、揺らして溶かす。
熱くドロドロとした何かを、無理やり引きずり出されるかのような。
自分一人が異常なわけではないことは、士郎を見ていればすぐに合点がいった。
魅了され、堕とされ、昂ぶる身体。
普段乱れない男が崩れる様に、妖しい色香を感じて、よけいに落ち着かなくなった。
腹いせに、目の前にある昂ぶりを踏み躙った。
零れ落ちる色香に窮したのは、相手よりもむしろ、自分だった気がする。
昂ぶりを収める姿を、見たいような、見たくないような。
見てしまったら、何かが終わる気がした。
結局、士郎は我慢することを選んだようだ。
乱れる吐息を、必死に押し殺す。
ほのかに、汗の匂いが香った。
下半身を滾らせた男と同じベッドで眠るなど、冗談ではないと思うのに、出て行けと口にする気になれない自分に、愕然とした。
互いに浅い眠りの一夜を明かし、夜明け前に、士郎は静かに出て行った。
また、何事もなかったかのように、この部屋を訪れるのだろうか?
そんなことを思う自分を、どうかしていると打ち消す端から、触れた肌の熱さが蘇る。
「……ありえねぇ」
昂ぶりの兆しを無視して、PCのスクリーンに眼を凝らす。
まだ足りない。
頭の中で、緻密に作戦を組み立てる。
ようやく雑念が消えて、やるべき作業に集中し始めた頃、内側からは開かない仕組みのドアが、外側から静かに開かれた。
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