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焼きつける(士郎side)
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「……どうした? ただ座ってるだけの人形に、どうやって熱くなれってンだ?」
「……っ」
龍之介の挑発を受けたアキラから、青白い屈辱の炎が立ち上る。
しなやかな両腕が動いたかと思うと、シャツの合わせ目に手をかけた。
バチバチッ、と糸が弾け飛び、ボタンが床を転がっていく。
スワローテイルとシャツが無残に肩から滑り落ち、綺麗に筋肉の乗った肩のラインが露わになった。
思わず、身を乗り出していた。
瑞々しい果実の香りに誘われるかのように、シャッターを切る手の動きが止まらなくなる。
「もうあの上着はいらないな。部屋の明かりをすべて落として、陰影が際立つようにライトでシャツを照らしてくれ」
ハッとしたように頷いて、克己とジェイが駆け出していく。
克己がアキラのスワローテイルを脱がせ、ジェイが室内の明かりを片っ端から落として回った。
アキラの腕にかろうじて引っかかっているだけの白シャツに、幾重ものライトが集中する。
暗闇の中、白シャツの向こうで鍛え抜かれた腹部から腰骨へと続くシャープなラインが、エロティックに浮かび上がる。
コクリと浅ましく喉が鳴った。
裸体そのものを見せられるより、見えそうで見えない危うさがイイのだと、抱き合う時、やたらとシャツを羽織らせたがる龍之介の気持ちがわかる気がした。
清純な白と淫らな裸体のギャップがより一層、危うい色香を生む。
誰もが息を呑んで見惚れる中、
「……ンじゃ、まァ、そろそろやるか」
龍之介がこちらを振り返り、ニヤリと笑った。
アキラに向けて掲げられた手の平に、なにごとかと皆の視線が集中した瞬間、
「……っ!?」
ビクリと、とアキラが身を震わせた。
瞬く間に、肌が紅く染まっていく。
「……素直に堕ちてこい。よくしてやる……」
果てしなく甘く濡れた声が、鼓膜の奥深くまでもを淫らに揺らした。
あたかも脳そのものを犯すかのように。
「……っ」
あんな離れた場所からでも、気は届くのか。
内側から突き上げるマグマのような快感に、抗う術などありはしない。
なす術もなく開かれていく自分が、重なって見えた。
同時に、先程まで自分にのしかかっていた龍之介の身体の重みが……匂いが。
色鮮やかに蘇る。
奥を貫く熱の硬さ、肌の熱さは、グツグツと煮え滾る欲望そのもののようで。
何を人前で恥ずかしげもなく思い出しては盛っているのだと、絶え入るように背けようとした視線を、絡め取られ、縫い留められ、叱咤された。
「……ポーっとしてねェで、しっかり撮れよ?」
「……っ」
ズクン……と下腹部が疼き、熱く固く張り詰めてしまう。
……もう、とっくに手遅れだ。
己の欲望のすべては、龍之介の手の中に握られている。
アキラを煽りながら、龍之介が真に犯しているのは自分なのだと気づいてしまえば、後は坂道を転がり落ちるより容易に、転落の一途をたどった。
……それが嬉しいなど、バカげている。
もはや、できるのはこれくらいだと、震える指先に力を込めて、シャッターを切り続けた。
なす術もなく昂り乱されていく美しい身体を、永遠の中に焼きつける。
やがて、耐えきれないと言いたげに、わずかに腰を突き上げたアキラが、スローモーションのようにゆっくりと脱力した。
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