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狂え(士郎side)
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「……二人っきりだぜ? もっと甘えて来いよ」
耳朶を食まれて、一気に先刻の熱が蘇る。
「オマエん中、入りてェ……」
「……っ、押しつけるな……」
「……オマエがカメラ握ってンの見てっと、疼いてヤベェわ。すっげェエロい攻めのオーラ出てンだもんよ……」
甘えかかるように首筋を舐められると、下肢が痺れた。
「……なァ、抱くのと抱かれンの、どっちがイイ?」
「……声、止めろ……っ」
額や首筋に汗が滲んで、頬を伝い落ちる。
アゴからこぼれ落ちそうになった雫を、ザラリとした舌ですくい取られて、呼吸が跳ねた。
グッと押しつけられた龍之介の下肢も、痛いほどに脈打っている。
「……はァ、キツ……」
我慢できずにユルユルと揺れる龍之介の腰を、慌ててつかんだ。
「……バカが…っ」
「……オマエといンのに、理性なんざ働くかよ……」
冷たく嫉妬を煽り、突き放したかと思えば、こうしてすねたように甘えてくる。
「誰かに……っ」
見られたらどうするのだという言葉を、重なった唇に吸い取られた。
「……ン…」
熱い舌が絡まり、触れ合った粘膜から、口内ばかりではなく全身くまなく溶かされていく気分になる。
「オレは見せつけてェけどなァ……」
龍之介が笑った。
「ガンガンに腰振ってよ……。訳もわかンねェくれェ、グチャグチャに乱れたオマエが誰のモンなのか、ちゃあんと、わからせとかねェとな……」
「……っ、みんな……知ってる、だろ……っ」
自分に手を出す命知らずなど、ここにはいない。
「……虎がいンじゃねェか」
低い声音に、ヒヤリとした。
「……まァ、ガマンしたのは褒めてやる。……ココに何も挿れてねェのも、さっき抱いてわかった」
「なら……っ」
もう離せと、胸に腕をついて距離を取ろうとしても、許してもらえない。
「……あンま誰かれかまわず懐かせるな」
射るような獰猛な瞳と、底なしの独占欲に、息が止まりそうになる。
「それなら、おまえだって……っ」
アキラを懐かせてるじゃないか。
その上、あんな煽り方をして、平気だとでも思っているのかと、シャツをつかんだ。
「足ンねェ……」
「……何が?」
「……もっとだ。もっとオレに、堕ちてこい……」
底なしに甘い毒のような声が、魂の奥深い場所までもを犯していく。
「……いっそ、狂っちまえ」
もう他の誰も見るなと、黒曜石の瞳の奥で、独占欲がマグマのように火を噴いた。
「……っ」
狂気の沙汰だ。
足がもつれ、腰が砕けた。
恐怖と愛おしさ、羞恥と幸福感に引き千切られそうになりながら、床に崩れ落ち、逃がすものかと追ってきた龍之介の身体を無我夢中で抱き返した。
陸に打ち上げられた魚のように、もがく。
互いの無様なほどの必死さに、笑ってしまった。
不意に視界が歪んだのを隠そうとして、失敗する。
「……っ」
「……泣くな、バカが」
龍之介が困ったように、笑った。
「泣いてない……っ」
ただ少し、胸が詰まっただけだ。
「おまえが、これが最後みたいに抱きしめるから……」
「……ンだよ、そりゃ。こっちは、あと百万回は抱くつもりだっての。……勝手に勘違いすンな」
スネたような物言いに、今度こそ声を上げて笑ってしまった。
狂いそうなほどに愛しいのも、不安なのも。
同じだとわかっただけで、満たされていく想いがある。
一足先に立ち上がった龍之介に強く腕を引かれ、向き合った。
「……いつ戻るんだ?」
ずっと怖くて聞けなかった問いを、勢いを借りて口にした。
「……明日の朝、暗いうちには発つ」
「……そうか」
「だからよ、ゆっくり撮ってるヒマねェンだって」
早く抱かせろと、尻の狭間を妖しく撫でてくる指先を、叩き落とした。
「シロちゃん、龍ちゃん、ごめんね!」
折よく、克己達が戻ってきた。
「……テメェらだけスッキリしやがって」
「そっちこそ、こっちが準備でバタついてる間、さんざんイチャついてたくせに」
天を仰いだ。
「……おまえの負けだ、バカが」
「……ンだよ、人の服ひん剥いて乗っかって来た挙句、アンアン腰振ってたヤツに、言われたかねェなァ」
「……っ」
本気の拳を、鳩尾にくれてやる。
ギリギリのところでガードした龍之介と、吐息が触れそうな距離で睨み合う。
「その年で、未だ口にしていいこととそうでないことの区別もつかないのか?」
「ウソは言ってねェだろーが」
「……おまえとは、一度本気でやり合いたいと思ってた」
「……はっ、燃えンじゃねェか」
「もうっ、子供じゃないんだから、いい加減にしてよ!」
見かねた克己が割って入ってくる。
「シロちゃんも龍ちゃんも仲良くできないなら、協力してあげないからね。あっ、アキラ君、おかえりー!」
克己が手を振りながら、勢いよくアキラのもとに駆けていく。
一時休戦だと肩をすくめ、背を向けた龍之介を呼び止めた。
「撮影方法に関して、話がある」
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