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提案(士郎side)
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部屋のドアが閉まるなり、嚙みつくような口づけが降ってきた。
そのままベッドに押し倒されて、待てと肩を押し返す。
「……ンだよ?」
さっきのを根に持ってるのかと、のしかかられ、苦笑した。
「違う。なぁ、先にゆっくり、風呂に入らないか?」
「風呂なんざ、後で……」
「背中も流してやるし、髪も洗ってやる」
ピタリと、龍之介の動きが止まった。
ひた走る欲望と、安らかな快感の間で、しばし揺れた針は、やがて風呂に軍配を上げたようだ。
「……くっそ、生殺しだろ」
それでもまだ未練が残るのか、のしかかった身体に、どく気配はない。
「風呂を沸かさないと、ベッドまでの距離も遠くなるばかりだぞ?」
「……風呂沸かしたら、戻って来いよ。湯が溜まるまでに一発ヤッてやる。つーか、ずいぶんと余裕じゃねェか」
風呂の栓をして、湯を注ぎながら、苦笑した。
「一応は、さっき一度出してるからな」
「……まァ、焦らされンのも、キライじゃねェけどよ」
背中から甘く、抱きしめられた。
シャツの裾から手が忍び込み、胸の頂をつまんで、弱い脇腹を撫で下ろす。
「……ん…っ、久しぶりに会って、驚いた」
流されるなと己に言い聞かせながら、いたずらに動く龍之介の手を取った。
「自覚はないみたいだが、ずいぶんと疲れて見えた」
癒してやりたい。
そう思う程度には。
「溺れたように抱き合うのもいいが、たまにはこの腕の中で、安らいでいけ」
「……もう充分、安らいでるけどな」
言葉通り、龍之介の声が和らいだ。
すぐそばに愛しい者の命がある。
温もりがある。
それだけで、すべてが正しい場所に収まり、上手く回っていく気分になる。
「……風呂入って、上がったら。そン時は、めちゃくちゃに抱いていいンだよな……?」
待ちきれないのは自分も同じだと、首だけで振り返り、背後の龍之介の首筋に、手を伸ばす。
その指を取られ、口づけられた。
「ん……」
くすぐったくて、身体をくねらせると、龍之介がふざけて、昂った腰を押しつけてきた。
「いたずらするな……」
「ははっ、イタズラって、かわい過ぎンだろ。……こういうのも、たまにはイイな」
考えてみれば恋人らしい甘い時間など、まったくといってないままに離れ離れになった。
会えば、獣のように絡み合う。
深い場所で龍之介を感じ、欲望のままに登り詰め、溶け合うことに不満を感じたことはなかったが、ゆったりと甘く流れる時間には、また別の充足感があった。
振り返ると、龍之介の瞳がやさしくて、どうしようもなく熱が上がる。
「……せっかくだ、思う存分、イチャイチャすっか」
自分から言い出したことなのに、なぜだか急に、恥ずかしくなってきた。
「……もう、充分だ。いい加減、離れろっ」
「……バーカ、離すワケねェし。つーか、風呂入るンだろ?」
龍之介がこちらの身体を抱き抱えたまま器用に、服を脱ぎ落していく。
裸の胸に抱き抱えられる気恥ずかしさは、服の上からの比ではなく。
「……もう、本当に離せ!」
「 ……今さら何、恥ずかしがってンだ」
甘く言い含めるような声は、すっかりこちらの反応を面白がっていた。
「……っ、勝手に脱がすな……っ」
「……風呂入ンのに、着たままでいるつもりかよ」
「脱ぐ、脱ぐから、離せ……っ」
自ら脱ぐのと、脱がされるのとでは、恥ずかしさの度合いが違う。
最後の一枚は死守すると龍之介を突き飛ばし、慌てて距離を取った。
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