アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
燃え立つ(龍之介side)
-
「……くそっ」
添い寝の事実だけでも許し難いのに、よりによって、久しぶりに会えたこの夜に、自分ではなく煌牙を選ぶ?
行くのなら終わりだと、睨みつけた。
だが、もとより予期していたのだろう。
士郎は一歩も引かなかった。
いつもそうだ。
士郎相手だと、まるで思うようにならない。
別れを切り出せば、ついてくると言われ、精神的に落ちて遠ざけようとすれば、距離を詰めてくる。
振り返りもしなかった背中を思い出し、チッと舌打ちして、ベッドのスプリングを殴りつけた。
この件に関して、向こうから折れてくるとは思えない。
こうと決めたら愚直なほど真っ直ぐ、その道を進む男だ。
傷だらけになることなど厭いもしない。
そういう男だからこそ、惚れた。
想いが冷めたとは思わない。
事が落ち着けばきっと戻ってくる。
そこまで考えて、ダメだとベッドから飛び降りた。
もし、自分が虎なら。
惚れないはずがない。
崖っ淵に立つ男にすがられたら。
手を差し伸べずにはいられないのが士郎だった。
せめて、つなぎ止めておかなくては。
シャツを羽織り、下着をすっ飛ばして黒のバトルスーツの下に脚を通す。
駆け出しながら、あまりの情けなさに笑えてきた。
こんな想いをさせやがって、 本当にどうしてくれようか。
苛立ちに反して、心はひどく燃えていた。
つかの間の安らぎに心を解放することはあっても、結局は永遠に魅惑的な獲物を追い続けていたいのだ。
狩猟本能がすべての感情を凌駕する。
逃げるのなら、逃げればいい。
それでも必ず最後にはこの手で仕留めてみせるとつぶやきながら、部屋を飛び出し全力で士郎の後を追いかけた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
84 / 297