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罠(士郎side)
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目覚めると、背後から誰かに抱きしめられるようにして眠る自分がいた。
「……よぅ」
毒のように甘い声に、震えた。
恋い焦がれた男の手が降りてきて、額をやさしく撫でていく。
夢ではないことを確かめたくて、その手を取ると、芳醇な酒がグラスの中でたゆたうように、笑われた。
「……ソイツがあンまかわいく泣くからよ。武士の情けだ。隣は譲ってやったぜ」
「煌牙が……?」
驚いて振り返ろうとしたが、ゆっくり眠らせてやりたい気持ちが勝り、何とか耐えた。
「いったい、何があった?」
「……男の涙の秘密なんざ、暴くモンじゃねェ。……だろ?」
肩をすくめられ、その通りだと口をつぐんだ。
「……昨日は……、その、すまなかったな……」
「ホントだぜ。代わりに頭ン中でさんざん犯しまくってやったけどよ」
「……やめろ」
朝から、それも煌牙が寝ている前で何を言い出すのだと、首筋がおかしな熱を持つ。
緩んだ手の中から逃れた指先が、首筋をサラリと撫でていく。
誘いかけるように、焦らすように、下唇を親指の腹で撫でられると、キスしたくてたまらなくなり、参った。
「……っ」
今の自分はきっと、浅ましい顔をしている。
表情を隠したくて、顔の前に腕を掲げたが、その腕ごと自由を奪われて、ベッドに縫い止められてしまう。
「……ンな目で煽られたら、勃っちまうだろーが。つーか、勃った。……どーしてくれる?」
「……っ、知るか……っ」
ふいっ、と視線をそらしたが、当然許してなどもらえるはずもなく。
つかまれたままの手を猛った下肢に、引き寄せられた。
「……コイツの目の前で抱かれるか、おとなしく手ェ貸すか。二つに一つだ。……選ばせてやるよ」
布ごしに押しつけられた熱の塊が、ズクンと皮膚を突き上げてくる。
あまりの羞恥に、気が遠くなりかけた。
淫らに、奥が疼く。
必死に首を振って、意識を散らした。
「後で……っ、煌牙が起きたら、部屋に戻って、……してやるから……」
消え入りそうな声で言うと、
「……そんなンで許すかよ。あんま人をナメんなよ……?」
龍之介が腰を突き上げて、なおも昂りを主張してくる。
「……っ」
「やる気がねェなら、無理にでも抱くだけだ」
ユラリと立ち上がろうとするのを、慌てて制した。
「やる……っ、……から、座れ……」
「ソレでいい。……つーか、まともに歩けもしねェくせに、抵抗できるハズねェだろーが」
「……っ」
屈辱さえ欲望を煽るスパイスになるなど、まったくどうかしている。
「……昨日さんざん、オマエの奥を犯した熱だ」
せいぜいそのガキを起こさねェようにやさしく扱えと、龍之介が笑った。
完全に優位を取られた。
早くしろと、嬲るような視線で煽ってくる。
背後の煌牙は、幸い寝息を立てたままだ。
起きるまでに終わらせなくてはと、気が急いた。
半身を起こそうにも、煌牙が背中から抱きついているために難しく、しかたなくわずかに身を乗り出すと、震える指で龍之介の下肢をくつろげた。
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